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第17話
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強い痛みと快楽に、いつの間にか意識を手放していた智紀がぼんやりと目を開けた。
乾いた唇を開こうとすればその奥がビリッと痛んで意識が完全に戻る。
舌が腫れているんだろう。咥内が違和感で気持ち悪い。
のそりと怠い体を起こせばシーンとした空気を肌に感じる。
誰もいない?直感的にそう思った。
辺りを見回すが、自分の服はない。智紀は薄い掛け布団を羽織るようにして肌を隠すと、部屋の入口まで歩き、ドアノブを掴んだ。
けど、それを回すことができない。
もし、このドアの向こうにアイツがいたら・・・。勝手な真似をするなと、また酷いことをされるんじゃないか・・・。
そんな考えが、智紀の動きを鈍らせていた。
でも、このまま大人しくあの男に弄ばれてていいのか。俺はそれでいいのか。
恐怖心をぐっと押し殺し、智紀はドアノブを回しそっと扉を開いた。
隙間から様子を伺うと、やはりリビングにも気配はなく、男はいなかった。
逃げるなら今しかない。
誰かに助けを求めよう。
辺りを見回しながら早足に玄関に向かう智紀は、窮屈な空間から飛び出せる歓喜に呼吸が上がっている。
ノブを下げてドアを押し開こうと力を込めた。
ガチャ。
しかし、智紀の気持ちとは裏腹にドアは開いてくれない。
「なんでだよっ!」
鍵も空いてる。内鍵だってしていない。
焦る気持ちで何度もドアを鳴らしたが一向に開く気配はない。
「なにしてるの」
大きな音が立つのもお構いなしに必死になっていると、突然聞こえた声に智紀の体が硬直した。
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