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第33話

現実を目にした途端にそこが疼くように熱くなった。ヒクリと動く陰茎にそっと触れると指に金属の重みを感じる。 こんな所にもあの男のシルシを許した自分にカッと顔が熱くなった。 異常だ…あんな行為異常すぎる。それにあれは犯罪だ。脅されて無理矢理…。 息の上がった智則はピアスに触れて外そうと試みた。 穴を開けられてからそう何日も経っていない。今なら穴は塞がり、何もかも元通りになれる。 「はあっ、はあっ」 息苦しい程の鼓動が智則の呼吸を速くし肩で息をした。 こんな物、早く取り払って記憶から抹消してやりたい。早く早く…! 気持ちが焦り手がおぼつかない。うまく外せない事にもっと焦り悪循環だ。 後頭部から浴びる熱いシャワーが追いやるようにどんどん体温を上げて、あっという間にのぼせてしまった。 ピアスを外すことを一旦諦めた智則はバスルームから出ると体を拭き、寝室へ直行するとベッドに倒れ込んだ。 「っ、せっかく解放されたのに───」 あの男はいないというのに、それでも智則を振り回し苦しめ続けている。 たかが一週間の出来事で。 情けない自分と悔しさに涙を浮かべ枕に顔を埋めると、いつの間にかそのまま眠りについてしまっていた。 智則が目を覚ましたのは次の日の朝だった。 悪夢から目覚めでもするように飛び起きると、昨日と変わらない風景に安堵した。滲んだ冷や汗が一気に引いていく感覚に深く息を吐いて胸をなで下ろした。 ベッドから起き上がり洗面所で顔を洗い、鏡を覗き込む。 うん。大丈夫だ。ゆっくりでいい…ゆっくりで…。 すっきりしている自分の顔を確かめ、焦る必要などないんだと言いきかせ、会社に行く支度をした。

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