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第37話

久しぶりに感じる快感に一時満足したが、それを簡単に覆い尽くす欲求がすぐに襲ってきた。 あんなに嫌で仕方なかった行為が今は欲しくて欲しくて堪らない。 男に再会して自覚した。 自分が自分じゃ無くていく感覚を。 「舌に付けたシルシ、取らなかったんだね。いい子だ。じゃあもう一つを確認しなきゃ」 男はまた智則の腕を掴むと寝室へ連れ込んだ。 「智則、見ててあげるから全部脱いで」 まだ記憶に残るここの情景に心臓が煩くなりはじめた矢先に男はそう命令した。 「全部脱いだらベッドに上がって俺によく見えるように脚を開いて」 さっきはあんなに切羽詰まったように自分の唇を求めてきたのに、途端に冷めたような物言いに智則の心は不安になった。 「できるよね?」 恥ずかしさに戸惑っていると、男は少し声を落として言った。 智則は慌てて服に手を掛けぬぎはじめた。 ワイシャツを脱ぎ捨て、ベルトを弛める。 ホックを外してチャックを降ろしスラックスと腰の間に手を差し込んだところで手が止まった。 言うことをきかなければ酷い仕打ちが待っている。 分かってはいるが、羞恥心が邪魔をする。 先程のキスで下着の中は精液で汚れているし、それをさらけ出すなんて。 あと一歩が踏み出せない。 「智則」 耳鳴りを覚えるような葛藤と戦っていると、名前を呼ばれた。 ああ…これ以上は待ってはくれない。 智則は覚悟を決めて下半身をさらけ出しベッドに上がると、足元に立つ男によく見えるように脚を立てて大きく開いた。   「いい子」 足元のマットレスが沈み、男がベッドに上がってきたのがわかる。 数回マットレスが沈むと、男の手が智則の膝に触れた。それは太股から内股へと滑り、脚の付け根でとまった。  肌を擦る快感に、智則の腰がくねった。

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