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Ⅲ 愛していると言わないでっ

「いいだろう。その条件を飲もう」 答えたのは俺……ではなく、赤築先輩。 ちょっと! 俺の一生がかかってるんだから、簡単に決めないでッ 「春道、お前はΩだ。あのインコはα。問題ない」 問題ありだーッ! ……つか、インコにも第2性あったんだ。 知らなかった。『(ツガイ)』で飼う時、気をつけよ。 一目でインコの第2性が分かるなんて先輩、鳥に詳しいな。 『じゃあ決まり♪よろしくね、僕のお嫁さん』 「よろしくしないー」 嘴が頬に触れようとした時 パタパタパタ 青い羽が羽ばたいた。 グイっと腕を引かれて…… 俺の体、逞しい胸の中に飛び込んでる。 「もう一つだけ。条件を付けさせて頂いてもよろしいでしょうか」 壬生…様? 『なぁに?』 鳥好きオーラを感知したのか。 ピョコンと赤築先輩の指にピーちゃんが止まった。 先輩の指、止まり木にして可愛いぞ♪ 「君と春道さんの結婚式は、明朝。私の挙式前に行って頂いて構いませんか」 えっ、俺ほんとにピーちゃんの結婚するのっ。 壬生様の結婚式は何としても挙げたい。 壬生様の挙式を行うには、俺とピーちゃんの結婚が必須条件だ。 でも…… 壬生様に言われると…… 胸がぎゅうっと締めつけられるのは、なぜだろう。 『いいよー。どうせ今から準備しても日が暮れちゃうからね。夜は鳥目で苦手だよ~』 「契約成立ですね」 ちょっとー!俺の意志はーっ! 「では」 「ぅわっ」 床に足がついてない! わわわわわーッ 体が宙に浮いた。 俺っ、お姫様抱っこされてる~っ★ 「耳まで真っ赤。可愛いですよ」 熱い吐息が耳朶を撫でた。 あ、壬生様って睫毛長い…… 間近にある秀麗な白晢に見惚れてしまって、目と目がバッチリ合ってしまった。 うわ~、恥ずかしすぎる~。 ……赤面 「挙式前の処女を守るため、春道さんの身は私がお預かりします」 「えっ」 えェェェェーッ 俺、男だから。この場合は童貞じゃ? つか童貞って守るもの? ……って~~ どど童貞じゃないからー! そういう事にしといてー! 「それでは77さん。明朝お会いしましょう」 バタンッ 俺、壬生様の腕の中 ズンズン壬生様が歩いていく。 ピーちゃんと、ピーちゃんの止まり木の赤築先輩を置いて、お姫様抱っこで俺を抱えた壬生様が社長室を後にする。 「あのっ」 重くないかな?とか どこ行くの?とか 結婚どうしよう?とか 心配は山程あるのだけど…… この腕に抱かれていると落ち着く。 あったかくて、逞しくって 温もりが全身を包んでくれて 鼓動が近い トクン、トクン 耳に囁く胸の奥、心音が優しい…… 目をつぶったら、ふわりと声が降りてきた。 「大丈夫ですよ」 勝算とは弾き出すものではなく、自ら生み出すものですから……

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