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第2話 ブラッシング。
「ふふっ、モフモフです」
赤ずきんちゃんは俺に会うと毎回優しく丁寧にブラッシングしてくれる。
ホントは直ぐにでも交尾したい。
でも赤ずきんちゃんは動物じゃなくて人間、理性のある生き物だ。
だからこうして俺は大人しく赤ずきんちゃんにされるがままになる。
「オオカミさん、気持ちが良いですか?」
「キモチイイ……」
「叶さん、オオカミ(俊さん)にブラッシングしてもあまり意味がないです。この子自分で毛繕いしますから」
むむむっ。
「小雪さん、俺と赤ずきんちゃんの邪魔しないでくれないかな?!」
「あ……。小雪さん、ごめんなさい。オオカミさんは小雪さんの飼い主ですからね」
「叶さん、あまり俊さんを甘やかすと、ろくなことはおきないですから気を付けてください」
「大丈夫です。オオカミさんは優しいですから」
そう言いながら、赤ずきんちゃんは俺の背中を優しく撫でてくれた。
……少しだけ良心が痛んだけど、俺は『理性のないオオカミ』なんだよ?
俺は尻尾で赤ずきんちゃんの美味しそうな太ももを撫でた。
「ひぁっ、オオカミさん!!くすぐったいです」
「赤ずきんちゃん、今度は尻尾ブラッシングして?」
「はいっ、優しくしますね」
『オオカミさんの尻尾は自慢ですからね』と、丁寧にブラッシングしてくれた。
「もう……、叶さんは警戒心が足りないですね」
そう、だから彼は俺(オオカミ)に騙されちゃうんだよ?
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