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今回も何徹もしてどうにか締切に間に合わせた。 すやすやとよく寝ている天使の隣にバタリと倒れ込んでからの記憶が全くないまま、体を揺さぶられて眠りから目覚めた。 「ん…ノアか……おはよう。何日も寂しい思いさせて悪かったな」 そう言って柔らかい髪を撫でると、首に抱き着いて頭をぐりぐりと押し込むように擦りつけてきた。 息ができないくらいの強さで、危うくノアの案内無しに天に召されるところだった。 「分かった、分かった。ノア、苦しいよ」 「あ、へぇる、ちゅき…っ」 「ふふっ、俺も。ノアのこと好きだよ、もうひと眠りするかい?」 「やっ」 グイグイと服の袖を引っ張って俺をベッドから引きずり出そうとしている。 今日はたっぷり眠りたいけれど、ノアに構ってやれなかった罪悪感があるから渋々ベッドから出た。 ノアは小走りで俺をダイニングのところまで引っ張って行った。 「あ!あ!」 ダイニングテーブルを指差して、視線をそこへ誘導する。 何かあったのだろうか? 「ん?何?」 むっと顔をしかめたと思ったら、いつもの俺の定位置である席の前まで背中を押されて誘導された 「こ!こ!」 「ん?スクランブルエッグ…とハム?レタスとプチトマトもある…」 「ぶれぇきー。たへて」 「breaky?朝ごはん?作ってくれたの?」 いたずらがバレてしまった子どもみたいに恥ずかしそうにもじもじしてコクンと頷く。 「朝の準備してなかったな…そう言えば。ごめん」 「んーん」 「ノア、指火傷したの!?ちゃんと水で冷やしたか!?あぁ、もう。ヒヤヒヤさせないでくれ…。でも朝ごはんはすごく嬉しい。今度は一緒に料理しよう…約束」 「ん!あぇる、ちゅき!」 「ははっ、知ってるさ。ノアも知ってるだろ?」 「ん!のあ、ちゅき…」 正解と笑いかけ頬にキスをして抱き上げる。 今までで1番素敵な朝だった。

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