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0721の日

「ごめんよノア。一緒にいたいけど、危ないからお留守番だ」 それが昨日の夕方。 俺が何かの賞を受賞したらしくそれのパーティーを出版社主催で催された。 そんなものには興味のない俺だったが、主役がいないと話が始まらないと勝手に開いたクセに文句を垂れてきた担当者にキレイにスケジュールを空けられ、渋々行くことになった。 本社近くのホテルで開かれるため、わざわざ前日に泊まっていなければならなかった。 「ノアが来られないようなパーティーになぜ俺が出席しなければならないんだ」 ノアはここへ来てまだ外に出たことがない。 この家の広い庭園で遊んでいるところは見かけるが、街へ下りたりすることは1度もない。 少し怖がっている節があるので、無闇に連れ出したりはしない。 俺も仕事に掛かりっきりだしインドア派だ。不必要な外出を嫌う。 「ノアがあんなに大勢の集まる場に行けるとは思えない。体調が悪くなるかもしれないしな…俺との関係を探ろうと、ノアが好奇の目に晒されかねない…」 「わかた…」 「たった1日だ。すぐに戻ってくる。必ず電話も入れるからな。冷蔵庫にノアの好きなものをうんと入れておいた。その時の気分で食べればいい」 「わかた」 「ノア、ノアは賢い子だからな、身の回りの事は心配いらないと思うが…」 長々と玄関で話す俺がめんどくさいと思ったのか、話を遮り俺の背中を押して追い出そうとしてきた。 「はいはい、分かったよ。もう行くよ…その前に行ってらっしゃいのキスが欲しいね」 「…んっ」 頬にむちゅっと押し付けられたくちびるが嬉しくて、寂しさを紛らわせそうだった。

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