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第24話
俺は彼氏に電話する、と嘘をついてリビングを通り過ぎ……廊下の奥へ逃げた
だが…………電話しようにも名刺を家に置いてある俺には電話ができるわけがなく………………
かといって玲のそばにそのままいると……すがってしまいそうになる
俺は……こんなにも玲のことが………………
今まで誰にもすがってこようとしなかった……
初めて母親からDVをされた時も友人などに相談もしなかったし
父親にも助けを求めなかった
多分、父に助けを求めていれば助かっただろう
…………だが、それは嫌だった
誰かに助けを求めるのが……本当に苦手なんだ………………
甘えるような行為が……嫌いだから…………
だから、多分その甘えるような行為の代わりにセフレバイトをはじめたのだろう…………
その中で傷つくようなことをされたことだってある
レイプをされたことだってあるし、そのせいで死にかけたことだってある…………
そんな時だって、誰かにすがろうとはしなかった………………玲以外には…………………
今まで玲の言葉とは比にならないくらい、もっと傷つくことをされたことがあるはずなのに………………
なのに……どうしてこんなにも涙が止まらないんだろう……………………
拭っても拭っても涙が溢れてくる…………
朱「……っく…………うぅっ…………ヒック……ぁぅう……」
ちくしょう…………あんなやつ…………好きになった俺が馬鹿なんだ……………………
初めて知った………………
恋って…………こんなに胸が痛いんだな………………
俺の初恋は……自覚する前に儚く散った…………
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ガチャ……
玲「だいぶ話し込んだんだな
目…………泣いたのか……?
大丈夫か?なにかあったのか?……」
そう心配そうに目元に手を伸ばしてきた玲の手をパシンと叩き落とし、冷たく言い返す…………
朱「関係ないじゃん、玲には…………」
玲「…………そうだな、悪い……」
………………俺は、あれから数十分泣き続け目はパンパンだし未だに涙が溢れそうになる…………
だが、耐えられるくらいにはなった…………
なので玲のいるリビングに来たのだが…………
ダメだ……泣いちゃう…………心配してくれた……
凄く嬉しい…………なのに、素直になれない……
ごめん……こんな可愛くない態度………………
俺は申し訳ないのと……今にも泣きそうな……俺の心に気づいてほしくなかったため
ずっと下を向いて俯いていた…………
だから、わからなかったんだ………………
玲が傷ついた顔をしていたなんて……………………
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