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第38話

Side朱雨 あの後…………リビングのソファに座り……晩御飯を待った 玲がなにか話しかけてくるかと思ったが、なにもなく、ただただ気まずい空気が流れていた………… 今……冷静になって、さっき玲に放ったセリフを反省する…… どうしてあんなこと言ったんだろう………… 好きなのに…………全く可愛くない俺………… どうして……こんなに可愛くない態度をとってしまうんだろう……………… チラッとバレないように玲に視線を向ける 玲は今、こちらに背を向けて、キッチンで料理を作っている その後ろ姿にキュンと胸が高鳴る…… いけないのに……恋する権利など……自分にはないのに……………… 玲の姿を目にするだけで、俺の体が、玲が好きだと叫び始める……………… ……玲、好き……………… 小さくその背中につぶやく………… すると、玲がこちらを向いて、俺に話しかけてくる 玲「……藤原〜?」 朱「んへぇっ!?」 バレたか……そう思った しかし………… 玲「くくっ……なに驚いているんだよ 晩御飯、できたからこっちおいで」 そう言われ、彼の手元を見てみると、俺の大好きなカルボナーラがあった そういえば…………付き合ってすぐの頃、好きな食べ物を聞かれて答えた記憶がある………… ……まさか…………覚えててくれて……? 朱「それ…………カルボナーラ…………」 玲「ん?あぁ、好きだろ? カルボナーラ」 覚えててくれた……………… ……なんで……どうして…… 色々疑問が湧いたが、嬉しさがなによりも勝った………… あぁ、目の前のこの男が愛おしくて仕方ない…… どうして……さっきまで突き放すようなことを言ったのに、優しくしてくれるの………… 俺は…………あんなに冷たいことを言ったのに…… 勘違いしてしまう………………違うのに……玲にそんな気は無いのに………… 俺は泣きそうになりながら一生懸命それに耐えながら、椅子に座った パクリと1口パスタを食べる 口にクリームのいい匂いが広がる 玲「…………おいしいか?」 朱「おいひい…………おいひいよ…………」 ぽろぽろと涙を流した俺を黙って、なにも言わずに見つめる玲 玲…………好き…………好きだよ………… 朱「…………すき……」 玲の目を見て、そういう すると、玲が一瞬くしゃりと顔を歪めたあと、ニコリと俺に笑いかける 玲「そんなに気に入ってくれたならよかった」 違うよ……玲…………お前のことが好きなんだ…… けれど…………言う勇気なんてあるわけもなく…… 朱「また…………作って欲しい…………」 玲「俺でよければ、いつでも」 そう、優しく笑いかけてくれる 違うんだよ……玲………… ツキンツキンと痛む胸を抑える 玲……玲は知らないでしょ? 俺が……どれだけ君のこと好きかを………… どうか……いつか……いつか…………この気持ちをなくすから………… それまで好きでいさせて………………

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