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第44話

Side玲 チュンチュン……と窓の外で鳥のなく声が聞こえる その音に目が覚め、静かに目を開けると、寝た時よりも密着して俺の胸にぎゅっと抱きついている藤原がいた その頭を優しく撫で、食事の準備をしようとそっと離れる 小さな体温を失った俺の体が、寒い、と訴える その訴えにたまらなくなり、ベッドに戻りたくなる だが、それを一生懸命我慢し、キッチンへ向かう キッチンにつき、冷蔵庫の中を確認する んー…………これなら…ミネストローネが作れるな………… 材料を取り出し、切り始める …………たしか、藤原はセロリ嫌いだったよな…… セロリを抜き、その代わりにトマトを増やす コトコトと煮詰めている間に、オレンジを絞り、ジュースを作る その後パンを焼き、それをテーブルに並べる しばらくして味がしみてきたミネストローネをお皿に盛り付け、並べる そろそろ起こそうかな………… 寝室の扉を開け、中を見る 玲「藤原、おきろ〜」 そう呼びかけるが、起きない 寝ている藤原はなにかを探すようにそろそろと腕をシーツの上で忙しなく動かしていた なにしているんだろう、と思い近づく …………すると…… 玲「…………?……っ、はは…………」 藤原は俺の使っていた枕をつかみ、鼻元に近づけると、顔をそれに押し付け、満足そうに寝ついた………… かわいい、可愛すぎる………… ……俺の匂いで落ち着いたかのように眠る藤原 その可愛さに、笑がついついこぼれてしまう 愛しさに胸が痛む…… こんなことされて、今更手放せる訳が無い…… 起こしたくはないが……そろそろ起こさないと…………そう思い、彼の肩を叩く 玲「藤原、朝だぞ?」 朱「ん゛ー!…………」 不機嫌そうに顔を顰めるだけで起きる気配はない さらに強く揺すると、綺麗な顔をさらに歪めた しばらく揺すり続けると、不機嫌そうにその綺麗な焦げ茶の目を開ける 玲「おはよう、藤原 朝ごはんあるけど、食べれそうか?」 朱「あさ……ごはん……………」 玲「そう、朝ごはん」 朱「食べたい…………だっこ………………」 ん、と両手を広げ、俺を睨みつけながら甘える藤原 クスクスと笑いながら抱き上げると 俺の首を締め付けるように強く抱きつく ……少し苦しいな…………まぁ、いいか………… そのまま歩いていると、だんだん覚醒してきたのか、キョロキョロと周りを見渡し、俺を見て驚いた顔をした藤原と目が合う 朱「え……なにしてるの?」 玲「え?だっこ」 朱「え、っと……おろして?」 玲「ん?むり、大人しくしてろ」 どうやら俺に、だっこ、と強請ったのは覚えていないようだ ……無意識に強請ったのか?かわいいな………… 俺が、大人しくしてろ、と言うと、腕の中に大人しく収まる藤原 トントンと背中を優しく叩きながら、テーブルに向かう ………………あぁ、下ろしたくないな…… そう思った俺の心に苦笑が漏れる 必死かよ……俺………………

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