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第45話
Side朱雨
玲「…………やっぱり腫れちゃったな……」
朱「…………なにが?」
食事中にそう呟く玲
つらそうにこちらを見ている
…………なにかあったのかな……
そう思い、彼の言葉を待つ
玲「……ほっぺ、腫れちゃったなと思ってさ
悪かったな……助けに行くの遅れて……」
申し訳なさそうに謝る玲に、嬉しさが芽生える
心配してくれていると思っていいのだろうか
とても嬉しくなる………………
と同時に、自分の頬の状態が気になる
………………そんなに腫れてるだろうか……
優しく頬を撫でると、つきんと鈍く痛む
朱「…………っ!たぁ………………」
玲「ばか、さわんな…………
ご飯終わったら、手当な」
朱「ほっとけば治るし……」
玲「ダメだ、悪化したら困る」
頑なに俺を治そうとする玲……
しかたなく、しかたなく!治療されてやる……
しかたなくだけど!
そう言うと、玲は嬉しそうに、おう!任せろ。
と言ってくれる
どうしてそんなに優しくしてくれるんだろう
…………本当に彼の心がわからない
その後、ご飯を食べ終わり、大きなガーゼを貼られてその上から保冷剤を付けられる
ひんやりと冷たさを感じるほっぺが気持ちいい
うっとりとしてソファに沈む
そのまま静かにしているとピンポーンと
チャイムを鳴らす音がする
立ち上がり、出ようとするが
それを玲に静止される
玲「……座ってろ、無理するな」
朱「俺……大丈夫なのに……」
玲「いいから、な?」
そう言われ、静かに座り直す
ガチャ……と玄関を開ける音がすると同時に
元気な声が聞こえた
?『れぇい!!!ひさしぶり!』
玲『抱きつくな……ばか』
?『……あれぇ?誰の靴?』
玲『お前には関係ない』
?『ひどーい、あんなことした中なのに?』
玲『余計なこと言うな!ばか!』
そのセリフに……ドキッとした…………
なんだ…………恋人がいたのか…………
ツキンツキンと胸が痛みを訴える
しかたないよ…………玲イケメンだもん……
泣きそうになりながらソファで体育座りをする
するとガチャとリビングの扉が開く音がした
そこを見ないようにし、ぎゅっと自分を強く抱きしめる
?『わぁっ、驚いた……
君、誰?玲の友達?』
玲『あ?あ〜まぁそんなとこだな』
恋人……と言ってくれなかったことに寂しさを覚える
恋人だと……言って欲しかったのにな………………
悲しみに顔が歪んでしまう…………
もう……失恋したくないのに……………………
……好きになんて……なりたくなかった………………
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