朱「あ、あぁ……いやだ…………玲ぃ……」 玲「うるさい、黙れよ…………」 カタカタと震えているその体を腕に閉じ込めるように抱きしめる 藤原はそんな俺を離すように、俺を手で押し返す …………そんなに早く彼氏のとこに行きたいのか？ 俺はいいようのない不安と、拒絶されたことへの絶望で、訳が分からなくなっていた 目の前の小さな存在に、噛み付くようにキスをする……………… こんなことして……初めて気がついた………… こいつの唇は…………こんなに柔らかかったのか…………と…………………… こんな形で知りたくなかった………自分で、自力で藤原を手に入れたかった…………なのに、俺は自ら、お前を傷つけるんだ……………… 固く閉ざされた唇を裂くように舌を滑り込ませる ビクッと跳ねる肩を押さえつけ、奥へ奥へと入れる 逃げる彼の舌を絡めとり……優しく、俺の思いが伝わるように愛撫する………………今更伝わったところで遅いけど………… 何度も、何度も彼と深いキスを交わす…………時折、吐く息に混ざる朱雨の甘い音に酔いしれながら、飽きずにずっとし続けた………… ヂュ、ヂュル……と唾液を交換する音が部屋に響く…………そんな音に夢中になっていた時、肩を強く叩かれた ドンドン！と叩かれるその衝撃に驚き、口を離す……すると、目の前の存在が、ゲホゲホッと荒く息を吸う 玲「し、しゅう？大丈夫か？」 朱「だ、じょうぶじゃ、ないっ！ くるしかった…………」 涙目で睨みつけてくる彼………… その顔…………煽ってるって……わかってるのか？ むくむくと、俺の中で欲が頭をもたげていくのがわかる……………… ごめん、と安く謝る………… 勝手に、するすると手が彼の肌の上を滑る………… ピクっと跳ねる彼……そんな反応にも愛おしく感じ、唇を首筋に滑らせ赤い跡を散らす 1つ、2つと、いくつも赤い花を咲かせる…… 強く吸う度に跳ねる身体…………すっ、と肌をなぞるだけでもビクビクッと腰を揺らしているのに…………もっと快楽を与えたらどうなってしまうのだろうか……………… もっと激しくしたい支配欲と、大切にしたいと彼を思う気持ちが混ざる …………すき、好きだ…………しゅう………… 玲「……きだ…………朱雨」 朱「え？なに？」 玲「好きだ、朱雨……ごめんな」 朱「え、うそ…………んぁぁっ！」 耐えられなくなり、彼に想いを伝える…… こんなこと伝えて……困るのはわかる………… 実際、目の前の彼は困惑した顔をしている…… わかってる、わかってるから………… 今だけ、今だけ好きにさせて………… 彼の胸にある小さな赤い実に吸い付くと、ビクビクッと跳ねながら甘い声をあげる 朱「んぁあっ…………あぅ…… ……イッちゃった…………」 そのセリフにズボンを見ると黒いシミができていた…………俺の心にモヤモヤが広がる………… …………開発済みかよ…………くそっ………… ………そうだよな…………お前は俺が初めてじゃないもんな……………… 俺は……お前が初めてなのに……………… 勝手にこみあげた嫉妬に、ちぎれそうなくらい心が悲鳴をあげる 悲しい……虚しい……辛い……好きに……なりたくなかった……………… そう思ったら……涙がこぼれて仕方なかった……………… 朱「え…………れ、玲？ どうして泣いてるの…………？」 玲「やめた………………」 朱「なにを……ぅぶっ！ え、ちょっと……れ、玲！」 彼に俺のシャツを被せると、俺は背をむけるようにして部屋を出た……………… 彼が俺を呼び止める声がしたが振り返ることは無かった……………… 朱雨とそういうことをすれば、心も手に入ると思った だが現実はどうだ………… 最後までしなかった上に………… ただただ苦しい思いだけが胸に広がっただけだなんて………… こんな形で知りたくなかった………… 朱雨の唇が柔らかいこと…… 脇腹が弱いこと…… 乳首が敏感なこと…… こんなに……俺自身が朱雨のことが好きなこと……………… 好きじゃ足りない……多分愛している………… だからこそ…………だからこそ、俺はあいつから身を引くべきなんだ……………… あいつは……今から俺じゃない誰かに、抱かれに行くんだから…………………… 失恋は……だいぶ前にしたはずなのに……………… 今はこれ以上ないくらい、胸に穴が空いている 俺…………こんなに泣き虫じゃなかったのにな…… 明「……あれ？玲どこかいくの………… って！どしたの！？泣いて…………」 玲「少し出かける…………追いかけてくるな……」 明「え、玲…………」 涙でぼやけた視界の中、心配そうな明琉を無視して、玄関を飛び出し外へ出た……………… 少しでも……この痛みを和らげようと思って…… だが…………それが……いけなかったんだ………………