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第50話

明「あぁ、なに?あんたまだいたの?」 朱「も、もう出てきます…………」 そういって荷物をつかみ、彼の横を通り過ぎようとした 明「……………………まって」 朱「……なに?邪魔なんだけど…………」 明「ねぇ…………君さ、玲のなんなの?」 目の前を遮り、そんな質問をしてくる彼 ………………恋人……じゃないもんな………… 改めて……俺らの関係について考える……………… 俺らは………………なに…………? 無言で固まっていると、目の前から溜息が聞こえた 明「はぁ…………………… これは僕から言うことじゃないから 言わないけどさ 察してあげてよ あんなに必死になってるのに」 朱「な、なにを?」 なにを察すればいいのか…………そう聞こうと思ったのに キッ!と睨まれて声になることは無かった 明「まだわかんないの!? あんなに態度に出してるのに!」 その言い方にカチン……ときた なに……その玲のことなんでも分かってます……みたいな言い方……………… 朱「わかんないよ……言葉にされなきゃ…… 君はいいよね…………」 明「な、なに?」 彼を睨みつけると、彼が少し狼狽える そうだよ…………君は……………… 朱「だって…………君は恋人なんだから! 本物の恋人に、気持ちがわかるのは当たり前でしょ!」 明「ちが、それはっ…………プルルル くそっ、なんだよ…………こんな時にっ」 ちがう?なにが違うんだよ………… もやもやしたまま彼を見つめる…… 彼は鳴った電話を取りに行ったようだった …………家電の場所まで把握してる仲じゃないか………… 荷物をつかみ直し、彼の横を通り過ぎようとした………………その時…………………… 明「…………え、れ、玲が…………事故?……」 え?…………事故?………………だれが……………… れい………れい……………玲……?……………… 俺は……電話を取っている彼の後ろ姿を見つめたまま……固まって、動けなくなった…………

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