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第51話

玲が…………事故……………… 玲……死ぬの?………… 嫌だ……嫌だ……………… はい、失礼します……と電話を切った明琉さんにすがりつくように抱きつく 明「あ、え?!ふ、藤原さん? どうし…………」 朱「れ、玲は!? 無事だよね!死んだりしないよね!?」 ぎょっとした顔で俺を見つめている彼の話をさえぎり、無事を確認する…… お願い……いきてて……! 朱「玲が死んだら……俺…………おれぇっ!」 明「大丈夫だよ…………今病院で手術中だって 〇〇病院だけど…………いく?」 朱「いく、いくっ!!」 ボロボロ涙を零しながら、コクコクと頷く 苦笑しながら俺の涙を拭ってくれる明琉さん 明「生きてるんだから、そんなに泣かないの 死んだみたいじゃない、玲が」 朱「ごめ……なさ…………うぅっ………… こんなに優しくしてくれる彼…… 玲が惹かれた理由が、嫌でもわかってしまう 玲の浮気相手に……こんなに優しくしてくれるなんて……………… でも……ごめんなさい………… 俺…………玲を…………渡せない……………… 俺のものじゃないのに…………渡したくない……… 朱「……きなの……」 明「…………え?なんて………………」 朱「玲がっ…………っすきなのぉ………………」 俺は…………玲の恋人にすがりついて………ワンワン泣きながら、そういった 最低だってわかってる………… ………俺が浮気相手なのに………… 本命にこんなにすがりついて………… 玲を渡したくないという気持ちがこんなに強く芽生える…………………… ワンワン泣きながら、すきすき……とつぶやく俺 そんな俺を笑いながら、優しく背中を撫でてくれる明琉さん 撫でながら、ポツポツと話してくれた 明「本当に僕と玲が付き合ってると思うの?」 朱「だって…………だってぇっ!」 明「………………うん」 朱「玲に、信頼……さ……てたぁ! それに……でん…わと…かぁ!」 ひぐっひぐ……と嗚咽しながら、なんとか言葉にする そこまで静かに俺の話を聞いてくれていた明琉さんが、呆れたようにため息をつく 明「はぁ…………兄さんが好きになるのわかるかも…… こりゃ、手放したくないわな…………」 朱「…………?」 何かを呟いて、はぁ、とため息をつく彼…… やっぱり呆れた……?……浮気相手に本気になる俺を……?………… そう思ったら、さらに涙が溢れてきた 俺は……馬鹿だ……………… 朱「…………ぅうー!」 明「え?!なんで泣くの?! んもぉ!…………あのね、藤原さん!」 朱「はぃいっ…………」 明「……俺と玲は、兄弟だから」 そのセリフにキョトン……としてしまう き、兄弟…………? 朱「きょ…………だい?」 明「そ、兄弟 やめてよね〜玲と恋人とか、ありえないから」 朱「じ、じゃあ………………」 玲に好きって…………伝えてもいいの…………? そう聞くと、また呆れたように彼は笑った 明「当たり前でしょ ほら、病院に行こうか 伝えたいでしょ?」 朱「…………っうん!」 俺は明琉さんの腕の中から飛び出し、病院に行く準備をするために、2階の玲の部屋に戻る 明「やばいな………………僕もあの子欲しい……」 明琉さんがそう呟いているなんて……知らないまま……………… 俺は準備を終え、明琉さんのバイクで、病院へ向かった………………

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