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第52話

Side朱雨 病院につき、手術室の前で待機する俺と明琉さん………… 手術中……と書かれた赤いランプは…未だに点ったままで……………… まだ少ししか経ってないのに、何時間もいるような気分になった そわそわと落ち着かない……グルグルと扉の前をあるきつづける 明「…………藤原さん、座れば?」 朱「……いい、たってる…………」 そうしながら、扉の前でひたすら、出てくることを待っていた……………… 明「歩き疲れちゃうよ? ほら、ここ座って……」 ポンポンと、隣を叩く彼 それに従い、隣に腰を下ろす じっとしていると、嫌な予感ばかりがよぎる 死にはしないか………… 二度と会えないのではないか………… ………………俺の名前を……もう一度呼んでくれるかどうか……………… 最悪の事態ばかり浮かんでは消える…… 明「………………泣かないで、藤原さん 今は……玲を応援しよう…………」 朱「……っふ、れい…………れいぃっ!」 俺は玲が死んだ時の悲しみを想像し、耐えきれないほどの痛みを感じ、明琉さんに抱きつきながら、子供のように泣いた……………… ・・・・・・・・・・・・・・・ 何時間たっただろうか…… ……まだ出てこないのか……と、赤いランプを見つめ、ソワソワしてしまう すると、次の瞬間、バァン!と音を立てて扉が開いた 医師が出てきて、ご家族の方!と明琉さんを呼ぶ 明「は、はい!」 医「……手術なんですが……残念ながら………… 外見の外傷は少ないのですが 内蔵の損傷が酷いです。」 明「そ、そんな………………」 医「今すぐ集中治療室に移ろうと思います」 明「わ、わかりました…………」 それだけ伝えると、医師は踵を返し、手術室へ戻ろうとする 朱「……っまって!」 慌てて医師の腕をつかみ、呼び止める 怪訝な顔をしながらも振り返ってくれた医師に、玲が無事かどうか確認をする 朱「せ、先生、玲、死にませんよね……?!」 医「……っ……今はなんとも………… ですが、できる全力は尽くして彼を救います」 苦しそうにそう答え、また体の向きを変えた彼……………… …………………………嘘でしょ……嘘だよね……玲…… 医師の消えた扉を見つめながら 死……という1文字が、浮かんでは消えた…………

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