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第56話
Side朱雨
母「朱雨くん……ごめんなさいね……玲が………」
朱「いえ…………大丈夫です…………
早く……目を覚ましてほしいですね……」
母「そうね…………この子も、早くあなたに逢いたいでしょうね……」
朱「はは…………そうだと…うれしいです…………」
玲が目を覚まさなくなって2週間がたった
学校帰りにここによるのも、もういつもの習慣みたいになってしまっている
お見舞いに来ていた東堂母と偶然会い、挨拶を済ませた
恋人じゃないから……友人として………………
ベッドに横たわっている彼を、静かに見つめる
じっと見つめていると、東堂母が立ち上がった
母「じゃあ、私帰るわね
あ、これ別荘の生活費
わざわざ送ってくれてありがとう
でも、いらないから返すわね?」
朱「そんな!お世話になってるのに…………」
母「いいのいいの、大人になったら出世払いで返してちょうだい?
それじゃあね、また明日」
朱「はい、また明日…………」
扉の向こうに彼の母が消えていく
そっと彼に近づく…………
先週まではガラス越しで見つめていた彼が、2日前……ようやく普通の病室にきた
染めているのに傷んでいない、サラサラのクリーム色の髪をそっと撫でる
放置しすぎているのか、若干プリン化が始まっている
朱「目が覚めたら……美容院行こうね…………」
そっと、話しかける
手を握り、見つめながら今日会った出来事を話す
朱「あのね、遥と薫が付き合ってるらしいよ
今日、急に遥が教えてくれた
俺たちと仲良くなる前から付き合ってたんだって
君の言ってた通りだったよ
玲、すごいね…………
でね、玲が元気になったら遊園地行こうって、話もしたんだ……
それが何年後になるか……わからないけどいつまでも待つからね………………
そろそろ、テスト期間だね…………
このまま目が覚めないと……テストの順位、俺が1位になっちゃうよ?
万年2位脱出しちゃうよ?いいの?
1位の座、奪っちゃうよ…?…………
負けず嫌いの君だから、起きたら怒るんだろうな〜
…………………………………………ねぇ、いつまで寝てるの?………………っふぅ……ック…………
…………早く起きてよぉ…………ぅぅっ……」
一生懸命話しかけているのに、ピクリともしない手
お医者さんが、話しかければなにか反応を返してくれるかもしれないって言うから……頑張ったのに………………玲…………いつまで寝てるの?
このままおじいちゃんになる気?
………………俺、そんなに気長くないよ…………
早く………………告白させてよ……………………
…………バカれい…………………………
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