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第58話

Side朱雨 ちゅ、ちゅ…………と玲の唇にキスを落としているときだった……………… 明「………………ふ、藤原さん?」 朱「………………あ、えっと、ち、ちが…………」 (み、見られた……………………) 慌てて玲と距離をとり、彼に言い訳をしようと動く あわあわと慌ててしまう俺とポカーンと驚いた顔の彼 なぜか俺よりも彼の方が慌てていた 明「えっと…………うわぁ……どうしよう……」 彼の悩んだ顔をみて不思議に思う 引かれたり、逆に顔を真っ赤にされるなら分かるが どうして悩んでいるのか全くわからなかった…… 朱「ど、どうしたの…………?」 明「えっと………………その………………うぅ〜」 これ言っていいのかな………… とボソボソと呟いている彼に、モヤモヤしてしまう (なんか……よくわかんないけど…………嫌な予感がする…………) 明「えっと…………知らなかったらごめん………」 朱「なにさ………………」 あー、でも……うー、と未だに言うのを渋っている彼にイライラしてしまう 言いたいことがあるなら、はっきりいえばいいのに……! 朱「ねぇ、なに!気になるんだけど!」 イライラして、わざと冷たく彼に言い放つ すると、彼が意を決したように俺と目を合わせてくる その悲しそうな瞳に、ドキッとしてしまう 胸の高鳴る方のドキッ……ではなく 嫌な方の……ドキドキで……………… 背中をツゥー……と嫌な汗が出てくる じっとそのまま彼を見つめていると フゥー……と諦めたように溜息をつき、恐る恐る……という感じで明琉が口を開いた 明「………………えっと…… …………玲…………婚約者……いる……んだけど」

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