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第59話
Side明琉
朱「え………………う、嘘だ…………………」
明「………………ホントだよ…………」
(まぁ、嘘なんだけどね)
婚約者がいる……と伝えた途端に顔を真っ青にし、ぷるぷると震え始めた藤原さん…………
目に涙をためて、なぜか僕のほうを睨みつける
朱「玲から聞かないと…………信じられない……」
その強気な目にゾクリと背筋が震える
その目…………たまらない、泣かせたくなる
婚約者がいると伝えたら、信じないのはわかってた
けど……僕には切り札がある………………
用意していたものをケータイで用意する
ケータイで調べるのは…………僕の元婚約者と僕の写真
3年前の写真だが……この頃の僕は玲の両親が驚くほど玲にそっくりだった
だから…………騙せるだろう…………………………
明「疑うなら……これ、みる?」
ほら、とケータイを目の前に掲げる
すると、恐る恐る覗き込んだ顔が絶望の色に染まっていくのをほくそ笑んで見つめる……
じっと、彼の反応を待ってみる
すると耐えられなくなったのか……ポロポロと涙をこぼしはじめる彼
(あぁ……かわいそうに)
僕のせいで泣き出してしまった彼を慰めようと抱き締める
すると僕の背中に腕を回しわんわん泣き始めた
朱「う、うぅ………っぁあぁぁぁぁぁぁあ!」
明「……………………かわいそうに…………」
必死に俺に掴まりわんわん泣き続ける彼
優しく背中を撫でながらニヤリ、と笑う
(これで……藤原さんが玲から離れる…………
そうすれば…………僕にもチャンスがくる……)
自分が悪役なのは……昔からだ
この行動で周りからどれだけ非難されようと、どれだけ悪党になろうと……彼の心が僕にむくならなんだってしてやる………………と心に決めて、次の作戦を考え始めた………………
僕がそんなことを考えているなど知る由もない彼は僕に泣きつき、僕越しに玲を睨みつけていた………………
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