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第62話
Side朱雨
ラブホに入り、部屋を選び終わったあと……
冬馬さんにエレベーター内で噛み付くようにキスされて、俺も自ら舌を出して、それに応えた
玄関入ったら、2人して体を密着させて…………さらに激しく舌を絡めた
朱「ん……ちゅ…んむぅ……ぁ………………」
冬「ん…………ぢゅ…」
朱「んんぅ……ぁぅ……んんッ」
冬「ふふ、きもちい?」
朱「……………………はい……んッ」
がっつきすぎたのか、唇がヒリヒリと痛む
それでもやまないキス………………
ヒリヒリとしたくちびるが気になりながらも続ける………………
…………唇の痛みより………………胸の痛みが大きくて………………それを隠すように……更に唇を自ら痛める………………
どうしてこんなに胸が痛むのか…………
ズキンズキンと痛むそれが嫌で…………忘れたくて…………忘れさせて欲しくて………………目の前の彼にすがりついた………………
朱「とうま……さん………………ベッド…………」
冬「うん?………………あぁ、ベッドね
行こうか」
朱「うん……………」
ベッドに向かいながら、頭の中は、考え事でいっぱいだった………………
どうしてこの手は…………玲じゃないんだろう
…………キスする時に触れる唇も、さらりと俺の首をなでる髪も、俺を呼ぶ声も、俺を写す目も………………何もかもが…………玲じゃない
冬馬さんと玲を比べて………………ガッカリしてしまう自分がいる………………
冬馬さんに縋ったのは…………自分だというのに………………
俺に触れてほしいのは違う手で、唇で、髪で、声で、目で………………クリーム色の髪と黒目が愛おしくなって…………仕方がない
冬「……っふふ、もう………………頑固だなぁ」
朱「………………へ?と、冬馬さん?」
急に笑いだした彼に不安を覚える
もしかして、失礼なこと思ってるのに気づかれた?
ヒヤッとしてしまい、固まる…………
しかし……………………勘違いだとわかる………………
冬「僕ね………………失恋したんだ…………」
朱「……………………え?」
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