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第70話

Side朱雨 「朱雨ー!こっちきてー!」 「はーい、今行くー!」 …………明瑠のことを、避けずに受け止めようと思った日から、数日がたった あれから明瑠とは一気に距離が縮まり、自分で言うのもなんだが仲良くなれたと思う 「朱雨〜?まだー?」 「まって!今行く!」 机に並んでいた勉強道具を片して、慌てて下へかけ下りる ガチャ……とリビングの扉を開けると、料理をしている後ろ姿が見える その後ろ姿に駆け寄り、話しかける 「明瑠?なーに?」 そう彼に話しかける 彼は僕を目に捉えると、ぱあ……と顔を輝かせて嬉しそうにした 「朱雨!お願いがあるんだけど……いい?」 「うん、今暇だったし、大丈夫だよ?」 そういうと、よかったぁ……と安心したようにため息をついた そんな頼みにくいお願いだっただろうか……と構えてしまったがされたお願いは大したこと無かった 「…もう………お皿洗いくらい、俺できるよ?」 「え?いいの?」 「うん、全然大丈夫だよ?」 そういうと照れくさそうにポリポリと頬を掻きながら、じゃあ……と申し訳なさそうにお願いされた そんな彼の腰の低さに、笑いが込上げる 「っくく…………ぶふっ……」 「な、なにさ…………」 「いつもの明瑠らしくないな……って……くふ…」 「もー!ひどい!そんなに笑うなんて! ……そんなに笑う朱雨は……こうしてやるっ」 「うわっ!やめろよっ……ははっ!」 後ろから抱きつかれ、腰をくすぐられる 「こちょこちょー!」 「くはっ!ばか!明瑠……やめろって! このっ!!」 その擽ったさにたまらなくなり、向きを変え、彼の方をむく 「…………っあ…………」 「…………ぁ……っと…………」 向きを変えたことで、彼の顔が目の前にきてしまった…… お互いの顔の近さに驚き、固まってしまう…… お互いにそのまま離れることなく、じっ……と見つめあっていると、明瑠がゆっくりと目を閉じた……………… 俺は………………そんな彼に……………… 静かに口付けをした…………………… 「……んッ…………ふぅ…………」 「ん………………ちゅ…………」 ちゅっちゅ……と啄むようにキスをする 軽いキスを数回、繰り返すと 口を離し、お互いにコツン……とおでこを合わせる 「ふふ…………キス……しちゃった…………」 「もー……………ばか明瑠…………」 「えへへ……………… ねぇ……朱雨…………もっと……して?」 小悪魔のように可愛く笑う目の前の存在………… 彼は俺の唇をペロリと舐めると、誘うように口を開き、俺に迫る……………… 俺は…………突き飛ばすことも、拒否することも無く……………… 後ろ手に水道の水を止めながら、彼のキスを受け入れた……………………

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