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第73話
Side明瑠
…………………………好きになる予定なんてなかった
目の前の存在を……手に入れて、玲に自慢して………………そのあと捨てる予定だったのに………
いつの間に………………こんなにハマっていたんだろう………………
「んぁ……ぁ、あぁっ!」
「っはぁ………………あかるっ…………」
僕の腰を掴んでガツガツと中を抉ってくる彼
その背中を必死にしがみつくことしかできない僕
二人の間には……………………愛なんてない…………
…………僕の一方通行の愛があるだけ…………
「っは…………あかる……いたく、ない?」
「いたくないからぁっ…………もっと……んッ!」
「っく……くそっ………………あかる……
……ごめん…………」
突然、静かに呟かれたその言葉………………
ねぇ…………それって………………
痛いのに激しくしてごめん?
……………………それとも、好きになれなくてごめん?
…………………………両方か………………
「いい、からぁ!……もっとしてっ!」
「はぁ……わかった…………んッ!」
「あ、ぁあっ……んぁあぁあああ!」
あぁ…………彼はなんて酷い人なんだ………………
彼が僕を見つめるだけで……僕の胸は高鳴る
彼が僕の名をつぶやくだけで……胸が締め付けられる
彼が自身の髪をかきあげると…………その仕草に釘付けになる
彼が僕の体を……壊れ物のように優しく扱うだけで…………好かれている感覚に陥る………………
…………………………そんなわけないのに………………
「っはは……………………」
小さく……乾いた笑が零れる
僕はなにをしてるんだろう…………
彼に迫って……体だけ手に入れて?
それで満足なわけないのに………………
ふと頭に浮かんだ人物
その憎たらしい顔を………………殴り飛ばしたくなった………………
お前が起きないせいで…………朱雨の童貞、僕が貰ったからね………………
…………お前が朱雨に出会わなければ…………僕のものになってくれたかもしれないのに…………
早く目を覚ましなよ…………ばか………………
「………………なに笑ってるの?
どうした?」
「なんも………………早く、玲が目を覚ますといいね」
静かに呟いたその声に、カチンときたのか
さっきよりも激しく奥を揺すられる
「ぁぁあっ!なに!?」
「………………さいてい…………ほんと
………………ありえない…………」
いい所を確実に抉りながら、激しく腰を振られる
そんな彼に必死にしがみつきながら、僕はされるがままだった………………
“さいてい”か………………
僕最低だよ?結構前から………………
今気づいたの?おバカな朱雨…………
ほんと……………………ばか………………
僕の頬を、冷たいなにかが伝う…………
それは…………生理的な涙か…………あるいは……悲しみの涙か…………………………
今の僕には考える余裕もなかった……………………
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