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第74話
Side朱雨
「ぁ、あぁっ!しゅぅ〜!」
「………………はぅっ、あかる!」
「ぁ、すきぃ……しゅう…………」
“すき”という言葉が明瑠の口から出る度に
罪悪感が俺の胸を突き刺す
好きになれない彼を抱いている俺
この関係をもうやめよう……と言ったことがある
言った瞬間、明瑠が泣き叫び、俺にすがりついてきた
“玲が目を覚ますまで、お願い!”と………………
そんな彼の言葉を借りて、今日まで関係をズルズルと続けている
こんなの………………許される関係じゃないことはわかってる…………
けれど…………快楽に弱い自分は…………何をしても勝てない………………
玲がいないいま、人肌のない寂しさを埋められるのは………………人肌だけだ………………
自分はなんて淫乱なんだろう………………と逆に笑えてきさえする
あぁ………………俺はクズだ………………
だから、玲にも好かれないんだ………………
「………………明瑠のこと……好きになりたいな…」
「…………その発言はクズすぎるよ、朱雨くん」
「あはは、だよね〜」
と、今までの経緯を冬馬さんに話していると
呆れたように返事を返された
僕の人肌の恋しさは、冬馬さんと冬馬さんの恋人である奏多さんにまで手が伸びた
奏多さん冬馬さんには抱かれて、明瑠は抱いている
ほんっと……クズだな〜
挙句の果てには…………冬馬さんに恋愛相談とか、笑える………………
「まぁ、気持ちはわからなくないけどさ……
その明瑠くんとやらは、今の関係で納得してるの?」
「んー………………してないんじゃない?」
「早いとこ、話つけておきなよ?
僕と奏多と君みたいにさ」
「んー?えー!3人で付き合いましょーって?」
「そ〜、それ」
ふぅ…………とため息をついて上を見上げる
僕と奏多さんと冬馬さんみたいに…………変な関係………………
ぶっちゃけていうと、今の明瑠のポジションはセフレ?だ………………
だが、俺には好きな人がいて、その人が玲
玲のことは結構本気で好き
だけど、目は覚まさないし、婚約者いるし…………脈なしだと思う
それに俺は玲と明瑠の他に付き合ってる人がいるし………………
まぁそれが奏多さん、冬馬さん…………なんだけどね
って………………俺こじれてんなぁ………………
ほんと………………まじでクズだ…………
「あ、朱雨
奏多がお家おいで、だって
久しぶりに抱いてあげるってさ」
「ほんと!?いく!!」
周りから認められるような関係じゃないことも分かっている
けれど…………冬馬さんのセリフに飛びつく俺はもう後戻りできないところまで来ているのかもしれない…………………………
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