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第8話《病の告知》
それから、今まで以上、真剣に学校の授業に取り組むアキラ…
体力が無くて苦手な体育も諦めず、最後まで頑張る。
負けず嫌いのアキラだから、そういう意地は人一倍ある。
無関心な父親を見返す為、存在を認めさせる為…
そのためだけに…
「けんじさん」
医局の中を覗きながら声をかけるアキラ。
退院してからも時々、健次の病院に、健次に会うために通っているアキラ。
「アキラ、いらっしゃい…無事来れましたね」
快く迎える健次。
「うん、近いし…」
近いと言ってもバスを一人で乗り継いでくるアキラ、やはり心配ではある。
「おっ、来たなチビ!遊んでやろうか?」
横から笑って口を出すのは、健次の親友の医者で、亜澄だ。
丁度、健次と亜澄が話しをしていたところ…
「ううん、いい」
そっけなく返すアキラ…
「かっ、かわいくねーの、…ほら健次、行ってやれよ、ここ俺いるから…」
がくっとオーバーに崩れながら、健次を促す亜澄。
「はは…、じゃ頼むよ、亜澄先生」
健次は微笑みながらアキラと庭の方へ向かう。
「忙しくない?」
アキラは健次の顔を伺って聞く…
「大丈夫ですよ、久しぶりにアキラが来たんですから、話しでもしましょう。最近何か変わったことがありましたか?」
優しく答える健次…
「…けんじさん、オレ、父親に会った」
その健次に…ぽそっと伝えるアキラ。
「え…」
「やっぱり、嫌な人だった…」
視線を斜めに投げ言うアキラ。
「兄に…何か言われたんですか?」
それを懸念して一番に聞く健次…
兄の性格は…
誰が見ても冷たい印象だから…
「汚点だって…言われた。楠木の家にオレは必要ないって…」
少し俯いて言うアキラ。
「!…そんなことを?」
こんな子供にも容赦ない兄…
胸を痛めつつ驚く…
「…でも、コウジの奴は必要って…コウジとは出掛けるのに、オレは無視…なんでだろ…」
はっきりとした差別…何がコウジと違うのか分からない…
「アキラ…」
使えないモノは切り捨てる。
楠木家の方針通りの兄ミツルだから…
「オレが入院とかして、迷惑かけたから?出来損ないって、オレが…未熟児で生まれたから?」
分からなくて色んな理由を考えたけど…
「アキラ、違いますよ。アキラが悪いのではなくて…兄の無神経なコトバに問題があるのです」
健次はアキラの背中を優しく撫でて…なだめるように言う。
「でも、じゃ…なんで親父は自分だけ必要ないって…」
それだけが納得いかない…自分がどれほどコウジに劣っているというのか…
アキラは悔しさを堪えるように言う。
そんなアキラを見て…
「…そろそろ、伝えなくてはならない時が、きましたね」
重い口を開く…
「え…」
アキラは、ふと健次を見る。
「本当は、アキラが中学に上がってから話すつもりでしたが…」
「何の、こと?」
妙に真剣な表情の健次を見て、少し不安になる。
「…アキラの身体の事です」
幼いアキラが背負って生まれて来た重い運命を、すぐに受け入れられるのか…
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