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第12話《父との確執》

そして、数カ月の時が流れる。 その間も時々アキラは病院に会いに来てくれていたが…丁度健次が忙しい時に重なっていたため、ゆっくりと話をする暇がなく…養子の話は伝えられないままになっていた。 そんなある日… 「けんじさん?」 いつものかわいい声が医局に響く… 「アキラ、いらっしゃい…」 丁度、健次ひとりきりだったのでアキラを優しく招き入れる。 「ごめんなさい、すぐ帰るから少しだけいい?」 健次の仕事の大変さはよく見てきているので、気遣って言うアキラ。 「大丈夫ですよ、今は手があいていますから…どうぞ」 子供にそんな風に気を遣わせてしまうことを申し訳なく思いながら…アキラに椅子に座るよう促す健次。 「ううん、これ見せにきただけだから…」 首を振って… 立ったまま鞄をさぐり…笑顔で手渡してくる。 「これは、通知表ですね。もう冬休みに入るんですね…」 「そう、今日から休み!」 いつもよりテンションの高いアキラ… それが何を意味するのか…分かってしまうから、この成績表を見るのが辛い。 ゆっくり中身を確認する。 「うん、すごいですねアキラ…」 頭を撫でて褒めてやる健次。 ずらりA評価の並んだ成績… アキラの努力した結果。 「こっちの、項目別評価…体育、Bが2つついてるけど、総合評価は二重丸ついてるから…A評価になるよね?」 そう純粋に聞いてくるアキラ。 「…えぇ、そうですね。よく頑張りました。大変だったでしょう」 「ううん、平気…なんか悔しかったから…でも、これだけ出来て自分でも嬉しい」 本当に嬉しそうに笑うアキラを見ると…余計切なく見える。 「アキラは頑張り屋ですね…」 どんな言葉で褒めていけばいいのか… どんな言葉で…伝えたらいいのか… 「病気持ってたってこれだけ出来るってこと、あの親父にわからせてやるんだ!」 約束を果たせたことを喜ぶアキラを… ミツルは簡単に裏切ってしまうだろう。 傷つく前に伝えないと…どんなに努力をしても、根本的に受入れはしないことを… それでも、自分なら…アキラの努力をすべてを認めてあげられることを… 「…アキラ、あなたの父ミツルは…」 意を決して伝えようとした健次。 その時…間の悪いことに… 『ピピピ…』 と添えつけの電話が鳴る。 内線だ… 「……」 一瞬動きを止める健次だが… 「けんじさん、鳴ってるよ?」 アキラが気にして出るように促す。 「あ、すみませんアキラ。はい」 仕方なく会話を途中やめにし…電話を取る健次。 『楠木先生?』 「はい、どうしました?」 『205号の海斗くんが急変です、サーチレーション60まで下がってます』 それは患者の容態悪化の知らせ… 「わかりました、すぐО2、5リットルでいってください、今行きます」 簡単に指示して電話を置く健次… そして、振り返るとそこにいたアキラがいなくなっている。 「けんじさん、またね!お邪魔しました…」 すでに出口の方へ行っているアキラ。 手を振って去っていくところだった…

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