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第13話

「アキラッ」 待たせて話しておきたかった健次だが…すでにアキラは帰ってしまっていた。 「……」 なんとも複雑な心境になるが… 今は医師として働くことを優先させるしかない健次。 急変した子供の元へ急ぐのだった。 バス停のベンチにひとり座ってバスを待つアキラ。 「…けんじさん、いつも大変そうだな…」 独り言を呟きながら時間を潰す。 「休みとかも学会とか研修とかで休めてないし…医者なんて何がいいんだろ…」 少し首を傾げてみるアキラ。 「独り?お母さんは?」 突然となりに座ってきた青年に声をかけられるアキラ。 「……」 不審に思って相手を見返すアキラ。 「君、男の子?綺麗な目をしてるね」 服装を見てさらに話かけてくる。 「今日、寒いね…」 何気なく言い、アキラの肩を抱き寄せる青年… 「!?」 健次以外の大人にあまり触れられたことのないアキラ… 身体を硬くする。 「名前は?」 馴れ馴れしく話し掛けてくる人物に戸惑っていたアキラだが… 「な、なんだよ!あんた…離せっ」 逃れようと身体を動かすアキラ。 「こらこら、静かにしないと…ちょっと確認ね」 そう柔らかく言うと逃げようとするアキラをさらに引き寄せ、片手でアキラの細い両手首を掴んで拘束すると…前からズボンの中へ手を滑りこませる。 「っ!」 いきなり他人にそんなところを触れられビクッと身体を固まらせるアキラ。 カシャっとカメラでその表情を写す青年… 「ふ…可愛い。じゃ、またね」 それだけ確かめると、青年はさっさと立ち去ってしまった。 「……」 驚きと恐怖で声がでないアキラ。 「……何、」 おそるおそるまわりを見回す。 すでに誰の姿もなく…ぽつんと自分ひとりだけになっていた。 いったい…何をされたのかもわからない。 ショックでうつむいたまま… さらに他人への不信感を増長させるアキラ。 「早くバス来い…」 ぽつりと呟いて…気を紛らわすしかなかった。 「コウヤさん、どうでした?あのコ…」 建物の影で煙草を吸う、先程の青年に話し掛けるもう一人の若者。 「うん、ちゃんとついてたよ…近くで見たら容姿もSランクだし…あとはあの子の情報を手に入れるだけだね…」 のんびりと話すコウヤと呼ばれた青年。 「それはこっちに任せてください。前に見掛けた時、住所は確認してますから…」 「うん、君はBOUS随一の情報屋だからね、一週間あれば足りるかな?」 「三日もあれば…大体は揃えますよ、また連絡します」 若者は自信を持って答える。 「全部揃ったら…あとは社長と実行役が最終選考して動いてくれるだろうからね。俺の家、電話繋がらなかったら、いつもの公園にいるよ…」 柔らかい口調で伝えるコウヤは…長身で茶髪のかなりカッコイイ青年だ。 「夜は…でしたね。情報屋の俺でさえ貴方がいつ寝てるのか判らないっスからね…不思議な人ですよ、ホント…貴方は」 「ふ、ありがとう。新しいコを選ぶ時って…余計寝られなくてね。そのコの人生を大きく変えてしまうことになるから…」 自分の目にとまったばかりに…裏の世界へ足を踏み入れてしまう。 「まぁ、確かに、自分が集めた情報で、入会を決められるってのは…責任感じますけど…結局、撮影を外された俺達には、残された能力でBOUSの役に立つしかないんですよ…そういう契約だから」 微笑みそう答える情報屋の若者。 「…そうだね、そう割り切れる君はすごいね。うん、じゃ、あのコの件、宜しく…」

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