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第21話

独りは慣れているアキラ、夜道を無言で歩いていく… ショックなことや嬉しかったこと…辛いと思うこと… 一日に色々あって普段、こんなに感情を動かすことがなかったので、精神的に疲れたアキラ… そんな状態だったので、以前バス停で不審人物に会ったことなど、記憶の端に追いやられ忘れていたが… この時、アキラの行動を見張る人物が既にいた… アキラはそんなことなど気付きもせず… 誰も待っていない自宅を目指す。 夜七時頃…病院前のバス停には数人いた。 バスもすぐ来て、それに乗り、いつものように帰るアキラ… ひとつ乗り継いで、自宅近くのバス停に到着する。 病院では、健次が車に戻ってアキラが帰った事に気付いたのは少し前… 心配だったので、バス停まで行ってみたが、すでに姿がなく… いったん病院に戻り、アキラの自宅へ電話してみる健次。 『はい、もしもし、くすのきです!』 元気よく電話に出たのは、アキラの義母兄弟のコウジだ… 「あ、こんばんは、コウジですね、健次です」 『けんじ先生!どうしたの?』 「えーと…お母さんはおられますか?」 大人から聞いてみようとするが… 『今日は仕事だから病院だよ、お母さんに用事?』 コウジの母は女医なのでいない時もある。 「いえ、そうですね、今日アキラが家に無事帰っているか聞きたいのですが…」 『アキラ?』 急に声のテンションが悪くなるコウジ。 コウジはアキラが大嫌いなのだ… 「コウジは知っていますか?」 『知らない、アキラのことなんか』 そっけないコウジ。 「そんなこといわずにね…居るかどうかだけ、確認していただけますか?」 『う…うん』 あまり気は進まないが健次の頼みにしぶしぶ頷くコウジ。 アキラには会いたくない…でも聞かれてるし… 考えてキッチンの方へ行くコウジ。 「ねぇ、アキラ今いるかわかる?」 コウジが聞いたのは家政婦さん。 「さぁ…どうかしらね、いるんじゃないかしら…犬の所にでも」 適当に答える家政婦… 「わかった!」 コウジはそれを聞いて電話のところへと戻る。 『もしもし、健次さん?…アキラ居るって』 「そうですか、電話かわれませんか?」 『…今、外の犬小屋にいるみたいだから…』 健次がアキラをひいきしているように思っているコウジ… あまり代わりたくなかったので確かめもせずそう答える。 「そうですか…では、いいですよ。コウジも元気そうですね、また病院に遊びに来てくださいね」 コウジにも優しく言う健次。 『うん!じゃね、バイバイ!』 そして短い会話は終わる。 取りあえずアキラが無事帰っているようなので、安心する健次だが… 実際にはアキラは家に帰りついていなかった… 自宅とは名ばかりで…アキラの存在感など無に等しいのだ。

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