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第6話

「……慣れる気がしません」 「俺はそれでも構わない。照れるお前を見るのは愉しいからな」 「ひどい人」 ふふっと苦笑をこぼしていると、つと、下腹部に熱を帯びた硬いものが押しつけられ、ひゅっと息を呑みました。見上げれば、劣情と愉悦で濡れた黒い瞳と目が合い、口元が強ばりました。 「それに、えらく興奮する」 「え……、と……っ」 ぐり、と血管が浮き出た裏筋を擦りつけられると、顔が燃えるように一気に熱くなりました。……先刻の行為であれだけ達したというのに、まだ元気になるのかと驚き、戸惑います。いったい、この方の身体はどうなっているのでしょう……。 「あ、あの……佐伯さ――」 「こら、違うだろ」 「あっ、すいません……治信、さん……」 また、致すのでしょうかと恐々と目で訊ねた僕に、彼は当然と言わんばかりに顎を引きました。口の端がまたひくつきます。その一方で、身体の芯がぼうっと燻りだしているのも分かりました。……浅はかで、素直な自らの肉体に胸のうちで苦笑しながら、僕はか細い声で言いました。 「今度こそ、気を失ってしまいます……」 「その時はその時だ」 「だ、駄目です、またご迷惑を」 「統」 言下に艶やかな低い声で名前を呼ばれ、背筋がぞくぞくとします。治信さんはニヤリとした笑みを浮かべながらも、目元にはほとんど獣のような肉欲を滲ませていました。 「お前が欲しい」 「……ぅ、……」 「まだ、足りないんだよ」 ……行為後の自分自身について懸念する以上に、旦那様の求愛に応えたい思いが勝りました。僕はゆっくりと右手をおろし、治信さんの昂ぶった一物をやんわりと包みました。 竿をスローペースで扱けば、治信さんは男臭い吐息を洩らし、気持ち良さそうに目を細められました。その様子が嬉しくて、もっと感じてもらいたいという欲求が胸のうちでむくむくと育ちました。手を動かす速度を上げ、彼が最も感じるという雁首を親指と人差し指の腹でぐにぐにと刺激しました。 「口でしましょうか?」 しばらくしてそう訊ねれば、治信さんはかぶりを振りました。彼の頬はいつも青白いのに、今はほんのりと朱く染まっており、呼吸は浅いながらも再び乱れていました。「疲れるだろ」と言って僕に覆い被さり、深い接吻をされたのち、唾液の銀糸を引いて舌と唇を離されました。

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