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2 千幸と暮らすために

あれから、警察に失踪届を出したり、千幸の養育について児童相談所と話し合ったりとかなりいろいろなことがあった。 社会に出たばかりの俺が男手一つで千幸を育てるのは難しく、かといって両親は離れて暮らしているうえ年を取ってるため今更子育てをすることはできない。 千幸は児童相談所の判断により児童養護施設に預けることになった。 しかし、あくまで一時的な処置だった。一緒に暮らす手筈が整えば迎え入れるつもりだった。 月に一度は一緒に外出をするようにした。残業が少ない業務に移動し、児童相談所と何度も話し合いを繰り返し、短期間の外泊を重ねて千幸を迎え入れる練習もした。 そんなバタバタのせいで当時の恋人とは別れることになり以来恋人はいないままだ。 そしてようやく千幸を迎えることができた。 5歳になった千幸の手はどんどん成長しているがそれでもかわいらしい小さな手だ。その手を引きながら一緒に家に帰った。

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