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3 再会
「今日何が食べたい?」
「あのね、こんちゃんのハンバーグ食べたいな」
「野菜もちゃんと食べろよー?」
「食べる食べる」
「ニンジンもだぞ~?」
「うえ~」
スーパーのカートに千幸を乗せて夕飯の材料を次々に放り込んでいく。
千幸と暮らし始めて半年。最初は慣れない料理だったけど。最近は結構慣れてきて短時間でいろいろ作れるようになった。
今日は千幸がご所望のハンバーグとそれに合わせたスープとサラダ。もう一品ほしいけどそこまでの技量はまだない。
最後に千幸が欲しがった知育菓子と朝食の材料をカートに入れてレジに向かう。
タイミングが良かったのかそんなに並んでいないから、すぐに会計できた。
「1550円になります」
「1550…円」
「はい、ちょうどお預かりします。レシートの…紺智 ?」
ふと顔を上げると高校時代の親友が立っていた。
「あれ?亮太…?…久しぶりじゃん…」
その男は亮太という名前で数少ない俺の親友の一人だ。
「ああうん、そうだよな。お前同窓会こないから~。あ~…その、結婚、したの?」
千幸と目が合った亮太に聞かれる。
「違うよ、こんちゃんはちゆのおじさんなんだよ!」
「あーそう、兄貴の子」
「へ~、ちゆちゃん?かわいい名前だね。あっと、ごめん仕事中だからまた今度!近くに住んでんだろ?」
「わるいわるい、ああまた今度な。近所近所。隣の家だったりして…ははは、じゃあな!」
「はは、じゃあな!またね~ちゆちゃん~」
「ばいば~い」
手を振る千幸をカートに乗せたまま荷物をもって荷詰め台のほうへ移動する。
「こんちゃんのおともだち?」
「うん、高校のころの…学校に行ってた頃の友達だよ」
買ったものをレジ袋に詰めながら答える。
「よいしょっと…、ちゆはいつまでスーパーのカートに乗りたがるんだろうな~」
カートから千幸をおろし、カートを置き場に戻しながら言うと
「い~じゃん、たいしょーねんれいなんだからさー」
と開き直られた。
「おこちゃま。そんなんじゃ小学生になれないぞー」
「ちゆも小学生なれるもーん」
「ほんとかな~。じゃあ、小学生になれる千幸さんはお手伝いね~」
千幸の知育菓子と朝食のヨーグルトが入った軽いほうの袋を持たせる。
「えー、こんちゃんが持ちたくないだけでしょー!」
「おうちまで競争だー!」
「あ、こんちゃんずるい!ふらいんぐだ!」
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