7 / 12
7 帰り道
「こんちゃん、おそーい!」
先を歩く(というより駆けていった)千幸が振り返って俺を呼ぶ。
「はいは~い」
千幸に追いつくべく速足で歩く。といっても風呂上がりに汗はかきたくないからそこまで早くない。
「ちゆ、手つないどこ」
「え~、今夏だよ?暑い暑い」
「夜だから危ないんだぞ!車とか…変な人がいたりするんだから!いやならもっとゆっくり俺に合わせて歩け」
「うー、はーい…」
よっぽど手をつなぐのが嫌だったのか(それも悲しいが)千幸は駆け足をやめた
「ね、ね、こんちゃんあの人!」
いきなり千幸が前を歩いている人を指さした
「え?」
「スーパーのお兄さんじゃない??」
「どうだろ、後ろ姿だし」
「ちゆ見てくる!」
一言いうが早いか駆けだしてしまう
「あ、こら先行くなって今言ったばかりだろ!」
慌てて追いかけると千幸が
「やっぱり!こんちゃん、スーパーのお兄さんだよ!」
と叫んだ。確かに顔を見ると亮太だった
「あれ?ほんとだ。ちゆよくわかったな…亮太お前何やってんの?」
「え、仕事終わったから普通に帰宅だけど…お前こそ…」
「俺たちはコンビニにアイス買いに…」
「こんちゃんね!明日燃えるごみの日なのに出すの忘れてたの!だから、二人でゴミ出しして~コンビニでアイス買ったの!」
「そっか…。ってかこの先の道って藤木コーポしかないけどまさか違うよな??」
「え?ああうち藤木コーポ」
「うそだろ…。いやうちのスーパー来てたから近くなのかなとは思ったけど!思ったけどよ!」
「あ~…、なんかすっげぇ偶然おおいね…ってかこれ晩飯?うわ、カップ麺かよ…体壊すぞ?」
勝手にレジ袋をのぞき込むとカップ麺と缶酎ハイしか入っていない。
「見んなよ!一人だと作るのめんどいし…わるいかよ!」
「いや別に悪かないけど…。あ、そうだお前うちの晩飯くってけよ!」
「え~?いや悪いよー。」
「作りすぎただけから遠慮すんな」
「それに、お前の飯とか失敗してるイメージしかないわ。ほら、高2のとき調理実習でさ~…」
「こんちゃんのハンバーグおいしいよ!」
「あ~、ほんと?」
亮太が怪しげな目でこちらを見てくる
「言わせてない言わせてない。千幸嘘つくの苦手だから信用していいぞ」
「うーん、じゃあ食べる!」
ともだちにシェアしよう!