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2-親ぎつねペロペロ意地悪お兄さんポッ!
スーパームーンにもミラクルムーンにも負けないまんまるお月様がぽっかり浮かぶ夜。
人気のないあばら家にて、化け狸一族の末裔たちがとっくり片手に酒盛りを開いていました。
「ところで、あの目障りな古狐、ある村人にご執着だとか」
「別嬪か?」
「それが男なんだよ、しかも意地悪なんだと」
「憎さ余って可愛さ百倍ってやつか」
「逆じゃねぇか、それ」
さて、そんな夜が明けて朝となり、お昼になって。
大好き賭け事で夜更かししていた意地悪お兄さんはやっとこさ寝床から出、お腹が空いたので、一人気ままに暮らす余りとっ散らかった平屋を出、優男お兄さんの元へ物乞いに出かけました。
村は夜に開かれるお祭りの準備で慌ただしげ、ぴーひゃらどんどん、あちこちから笛やら太鼓の音色が聞こえてきます。
「おそようさん、そろそろ来るかと思っていたんだ」
ほぼ毎日やってくる意地悪お兄さんを嫌な顔一つせず、手入れの行き届いた小ぎれいな平屋の縁側で出迎えた優男お兄さん。
その腕にしがみつくテラカワイイ幼女風男子。
「きゅるん、こんにちはぁ」
その正体は妖怪の血を引く妖狐の末裔、人間じゃあ、ございません。
「飯くれ、腹減った」
「もう用意してあるよ」
「お茶もあるでしゅ」
「……お前、本気でこの子ぎつねと暮らすつもりかよ」
「うん。九九 は俺の大事なお嫁さんだ」
嬉しさの余り狐耳と尻尾をぴょこんと出して優男お兄さんにスーリスーリ頬擦りするテラカワイイ九九。
山菜雑炊をかっこんでいた意地悪お兄さんはちっとも面白くなさそうに、どっちらけ顔で、らぶらぶな二人を眺めるのでした。
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