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6-3
「きゅるん、とと様、ガチでしゅ」
ちょっと離れたところから心配そうに見守っていた意地悪お兄さんの足元にやってきたのは、九の息子、テラカワイイ幼女風男子の九九 です。
「俺も是非参加してみたい」
「きゅるる、だんな様、だめでしゅ、あやかし飲み比べ、三日三晩かかることもあるでしゅ」
知り合いである優男お兄さんと九九の会話に意地悪お兄さんは青ざめます。
三日三晩もかけるものかとピッチを上げるあやかし同士。
どんどんどんどん空になるとっくり、盃では埒が明かぬと、酒屋の主人が運んできた酒樽を持ち上げて飲み出す狸ども。
超プライドの高い九も別嬪細腕で酒樽を持ち上げて色気だだ漏れながらに酒を飲み干していきます。
盛り上がる物見遊山な人々。
ほとんどの者がつられて酒を飲み飲み、辺りは大盛り上がり。
「あ」
酒好きなのに珍しく飲む気になれずにあやかし飲み比べを真剣に見ていた意地悪お兄さん、ぎょぎょぎょぎょぎょ!
「んーなんだありゃ?」
「娘さんの頭から何か生えてない?」
「獣の耳……?」
なんと。
酔いが回り出した九の頭に狐耳がぴょっこん。
村人らは目の錯覚かと何度も瞬きしたり眼を細めたり、意地悪お兄さんは気が気じゃあありません、必死こいて「おい、九!耳!耳ぃ!」と大声で注意しますが、九は無反応、酒をグビグビ飲み続けています。
「しょーがないでしゅ、だんな様、お前、お耳塞ぐでちゅ」
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