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7-親ぎつね興奮コンコン?意地悪お兄さん狐耳ぴょこん!

ひんやり冷たさの増してきた朝。 お外で雀がちゅんちゅん囀る中、意地悪お兄さんはあったかい寝床で目を覚ましました。 「ふわああああ~~~」 起き抜けにだらしなく大欠伸をかまして思いっきり背伸び、バキボキ関節を鳴らします、すると。 「ン」 すぐ隣で寝息が聞こえ、意地悪お兄さんが寝惚け眼で視線を向けてみれば。 同衾していた妖しげ綺麗な美丈夫姿の九とご対面。 なんっとまぁ美しい寝顔でしょう。 雪色の長い髪はヘアアイロンを使用したかの如くサラリと流れて寝癖一つなく、白い白い肌にはシミソバカスだってありません、まるで昨夜に美容パックでお手入れしたかのようなツヤツヤ美肌っぷりです。 珍しく先に目覚めた意地悪お兄さん、すぐに寝床から出ようとせず腹這いになり、九の見目麗しい寝顔にこっそり好きなだけ見惚れていましたが。 何だか妙です。 頭に違和感を覚えます。 な、なんだぁ……? 頭から何か生えてるような……まさかあんまりにも怠惰な生活が祟ってキノコでも生えてきやがったか? もぞりと起き上がった意地悪お兄さんは恐る恐る両手で自分の頭を触ってみます。 するとどうでしょう。 やはり何か生えているようです。 キノコにしては、もふもふ、ふさふさ、大きいです。 それに尖っています。 三角のかたちをしているようです。 なんだこりゃあ、ちょっと待て、この感触はどっかで覚えがあるぞ。 『なんだお前、こんなモン生やしやがって』 『きゅーーーっ』 優男野郎んちで、ぶりっこカマトトくせぇガキの九九が頭から生やしてた……狐の耳みてぇな……。 「はああああっ!?」 「ん……朝っぱらから騒々しいね、旦那様……? また賭け事に負ける夢でもご覧になりました……?」 頭から生えた「何か」を頻りに抓ったりサワサワしたりして意地悪お兄さんが一人てんぱっていたら、隣で眠っていた九がそれはまた女優じみた様子でゆっくり色っぽくお目覚め。 わざと別嬪娘の口調でからかって閉じていた瞼をそっと開いてみれば。 「九っ、俺の頭どうなってる!?」 起き抜けの視界に飛び込んできたのは。 この世で一番愛らしい意地悪お兄さんの頭からぴょこんと生えた狐の獣耳。

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