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11-親ぎつねマジギレ激コンコン意地悪お兄さんガチコンコン!?

あやかし狐の九はそれはもう呆れ返っていました。 「僕のお嫁さんとしての自覚がちゃんとあるのかな、君は」 朝っぱらからマイホームなる藁葺き屋根のおうちで正座を命じられた意地悪お兄さん。 どうして呆れられているのか理解できずにお間抜けポカン面です。 「お前なんで怒ってんだよ?」 ほんのり朱色に彩られた切れ長な双眸はデリカシーなき伴侶に剣呑な光を帯びます。 「それがわからないってことは、やっぱり、自覚がないんだね」 「?」 「狸共と夜通し酒盛り、どうかと思うけど」 『よっしゃ、一抜け、そらみたことか!酒寄越せお前等!』 『ちきしょ~意地悪男のくせにやるな、お前』 『あの高慢ちき古狐の嫁にしちゃあ面白味あんじゃねーか』 『おらおら、くれてやっから、アイツの弱点の一つや二つや百、教えてくれよ』 『んなモンあったら俺が知りてーわ!』 年若い化け狸一族の末裔と夜遊びして朝帰りという不貞を働いた意地悪お兄さん。 「それに、ね。まさかとは思うけれど。信じたくないけれど。匂うのさ」 「そりゃあしこたま飲んだからな」 「お酒の匂いじゃあないよ、君から百足の匂いが、少々、ね」 「百足ぇ? あ~、ひょっとしてアイツか、這虫って奴のことか?」 『お前さんには面白いくらい食指が動かないねぇ、そこの狸らといっしょ、ゴリゴリ硬そうだもの』 そうです、酒盛りの座には大食共食いで多くの同胞から疎まれているはずのあやかし百足、物騒ギザ歯に包帯ぐるぐる巻きの這虫もいたのです。 『九サマは偏食なんだねぇ』 『そーよそーよ、あの古狐、無駄に長生きし過ぎてゲテモノに走ったのよ、理解不能!』 『誰がゲテモノだッばっきゃろー!』 『『『ぎゃはは!』』』 『オレは甘くて柔らかいのが好みだねぇ、ハイ、二抜け』 「下賤な輩共と風情豊かな月夜を過ごすでないよ」 「……」 「今の君は当主の緋目乃にも認められて形式上あやかしの仲間入りをしたけれども。這虫は同胞喰らいだから、ね。それを抜きにしても僕は彼奴があまり得意でないから。狸共にも言えたことだけれども」 「……」 返答のない嫁を見やれば、こっくりこっくり、しこたま飲んだ酒が祟って船をこいでいる意地悪お兄さん。 妖しげ綺麗な青年姿の九はやれやれと肩を竦め、そして。 「ギシャアアアアア!!!!」

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