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「ずっとついてきてたんだな、お前」 夕方になって板間の行燈に点された火。 疲れ切った意地悪お兄さん狐を懐にしっかり抱いた化けもん狐。 「だって心配だもの」 「なんで撃たれる前に教えてくれなかったんだよ。お前なら気配とか鉄砲の匂いとかすぐに気づくだろ?」 「だって可愛かったから」 目を丸くした意地悪お兄さん狐をべろりと一舐めした九。 「紫陽花にじゃれつく君」 「じゃ、じゃれついてなんかいねぇ、どんな品種か確認してただけだ」 「見惚れてしまって。夢中になって。危うく……ね。心臓が止まるかと思った」 「どっちの心臓だよ」 実際は鉄砲を撃った村人の心臓が喰われかけたショックにより最も止まりかけたのですが。 「僕と君、どっちも。ああ、こんなに冷たくなって」 化けもん狐のどでかい舌で全身舐められて、痛いくらいの毛づくろいに目を回しそうになる意地悪お兄さん狐。 「ぐるじっ、息できねぇ! もっと加減しろ!」 「難しいなぁ」 「体格差も考えろよな!? お前には単なる抱っこでも俺にとっちゃあ拘束だ!」 自分の毛づくろいもそこそこに意地悪お兄さん狐にばかり構っていた九はスゥ……と鋭い眼光翳す切れ長な大きな目を細めました。 「体格差、ね。なるほど。承知したよ、僕のお嫁さん?」 そう囁いたかと思えば、どでかい化けもん狐の姿がみるみる縮んでいくではありませんか、まるで普通の獣の大きさへ……。 「へっっ?」 意地悪お兄さん狐はぶったまげました。 まだ自分より多少大きいものの、サイズ的には常軌を逸していない、しかしそれはそれは恐ろしく美しい白狐の姿となった九に……釘づけになりました。

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