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「てめぇも飲みやがれ、九九」 「まだ未成年でしゅ」 「妖怪に未成年もクソもあるか!」 「じゃあほら、少しだけ、な」 優男お兄さんは青空の映る盃に指を浸し、美酒に濡れた指先を九九へ掲げました。 九九は恐る恐るぱっくん(これは芝居です、九九は親ぎつねの九と酒盛りの経験が何晩だってあります、優男お兄さんの前でカマトトカワイコぶっているのです)。 「きゅるんっ」 「おらおら、もっと飲め!」 性質の悪い酔っ払い意地悪お兄さんに無理矢理、な風を装って、嫌いじゃないお酒を九九もンクンクンクンク。 その結果。 「じゃあ今から野球拳やるぞ~」 「きゅるる~ぼく三味線やるでしゅ~」 仄かに酔いが回って狐耳と尻尾をぴょこんと出した九九は三味線をベンベン爪弾き、苦笑する優男お兄さんの前で意地悪お兄さんは……一人野球拳……おばか酔っ払いの極み状態です。 「あんまり脱ぐと風邪を引くよ」 「うるへ~てめぇも澄ました顔してないで脱ぎやがれ~」 それはそれは上手に九九が三味線を鳴らす傍ら、意地悪お兄さんは優男お兄さんの着物をえいえい脱がそうとします。 「おらおら~こ~いう具合にしやしゃんせ~」 ノリノリな意地悪お兄さん、どうしたものかと優男お兄さん、久方ぶりの酒盛りにきゅるるるんな九九。 春風と程よく絡み合う三味線の音色。 舞い上がる花びら。 波打つ桜。 春先の酒盛りに白昼夢から訪れたかの如き新しい客人。 「アウト!セーフ!よよいの、」 「些か飲み過ぎのようだね」 優男お兄さんに迫っていた悪酔い意地悪お兄さんが赤ら顔で振り向けば。 降り頻る花びらの雨を背にして狐面をつけた九がそこに立っておりました。

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