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第32話 友情。

「確かに俺はまだ子どもで頼りにならないかもしれない。それでも、俺はあいつの傍に居たいんだ。たとえ、お前や家族に反対されたとしても、俺は雛多の代わりに優多を守っていきたい。」 尊は、樹季に書類を手渡した。 「見てくれ。この数日間で、優多と暮らす手筈は、全て整えた。今夜父さんに話をする。」 全くこのガキは。。 1人で何でも抱え込もうとしやがる。 もっと俺を頼って来いよな。 まぁ、俺も姉ちゃんの力を借りたしな。。 余り偉そうな事は言えないか。 尊は、肩を竦め苦笑している樹季の様子を目にし、彼の真意が分からず首を傾げた。 「尊。。」 「ん?」 「先ずは、こっちの書類から見てくれ。」 尊は、樹季の意図が読めず、訝しげに彼を一瞥してから、封筒を受け取った。 封筒の中には、樹季が昨日契約した家の権利書が入っていた。 樹季は、尊の表情が戸惑いから喜びに変わるのを満足気に眺めていた。 尊は手渡された書類に目を通し、樹季が既に自分の計画を知った上で、一緒に優多を支えていく覚悟を決め、近くに家を購入した事に気が付いた。 「樹季。。お前。これ。。」 「うん。昨日、契約を済ませて来た。瀧さんが俺の家に来て、お前の計画を話してくれたんだ。お前、あの人に感謝しろよ!今日、姉ちゃんが親父を説得してくれて、俺の方の許可は得ている。後は、お前の親父さん達と、嘉神のおじさんだな。」 いつの間に。。 俺だけじゃなかった。 皆んなが優多を支え、守ろうとしてくれている。。 「お前。一人暮らしの癖に、4LDKの家なんて贅沢だぞ!」 尊は喜びを内に秘めながら、精一杯の憎まれ口を叩いた。 今度は、樹季が負けじと 「尊が購入した家だって4LDKだろ?それに。。優多が、お前と暮らすのに嫌気が指したら、俺と住む事になるから、予め、広めの家にしたんだ。」 尊に向かって、シレッと言い返した。 「優多が、俺に嫌気が指す何て事は有り得ないな。万が一にそうなったとしても、お前と優多が2人きりで暮らすなんて日は来ない。」 「何故だ?先の事は誰にも分からないだろ?」 「分かる。俺がそれを許さないからだ。一緒に暮らして良いのは、俺だけだ。」 尊がふんっと鼻を鳴らして樹季に言い放った。 暫くの間、互いの顔を見つめ、威嚇し合っていたが、いつしかそれは笑顔に変わっていた。。

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