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第40話 優多。挨拶をされる。

尊兄。今日、仕事だよね?」 「ああ。まだ手伝い程度だから、夕方過ぎには終わるよ。夕食は一緒に取ろう。」 「今日は、お父さんと食事してから帰って来るよ。」 「そうか。。今日おじさんが帰って来る日だったな。」 被害者遺族の集まりが、ホテルで行われる為、嶺多は日帰りで帰国して来る。 優多も一緒にホテルに行く予定だ。 尊は優多の言葉を聞き、笑顔が曇る。 彼を1人で行かせる事に一抹の不安を感じていた。 「俺。やっぱり、一緒に行こうか?」 「お父さんが一緒だから大丈夫だよ。それに、俺は話し合いに参加しないから、その間はホテルの庭園でお茶でもすれば良いし、お父さんと夕飯食べた後、空港まで見送ってから帰って来るよ。」 「そうか。。分かった。」 「ほら、尊兄、もう仕事行く時間だよ。俺も、もう少ししたら出るよ。」 「もうそんな時間か。じゃあ、先に出るけど、何か有ったら直ぐに連絡しろよ。」 「うん。分かったから、急いで。」 尊が支度を終えて出ようとすると、優多が尊を見送ろうと、玄関口までやって来た。 尊が優多に気付き振り向くと、彼の首元に巻かれているマフラーに目線を落とした。 「それ。。雛多と色違いのマフラーか?」 「うん。お父さんに会うから。雛兄も喜んでくれるかなって思って。。」 「そうか。。そうだな。じゃあ、行って来る。」 「うん。行ってらっしゃい。気を付けてね。」 そう言って笑顔を浮かべながら手を振る優多に、尊は、愛おしさが込み上げて来て、思わず彼を引き寄せると、彼の柔らかな頬にそっと唇を当てがった。 優多の驚いた表情を尻目に、尊は無言のまま、足早に玄関を出た。 尊が出掛けた後、優多は彼が取った行動について考えを巡らせたが、然程深くは悩む事はせず肩を竦めると、 外国人の挨拶みたいなものか。 何ともあっさりとした結論に達し、自分も出掛ける支度を始めた。。

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