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第48話 原因不明な感情。

挨拶。。? 優多にとってキスは挨拶なのか? そもそも、俺は何故彼にキスをしたんだ? 彼の何気無い言葉に、俺は何故ショックを受けているんだ? 「尊兄。話し聞いてくれてありがとう!俺、着替えてくるね。」 優多は、尊の心の変化に全く気が付かず、明るい表情を浮かべた。 「ああ。もう遅い時間だしな。」 尊は、無理に笑顔を作った。 優多が自室に向かおうした時、尊はある事に気が付き彼を呼び止めた。 「おい。優多!」 「お前。今日あのマフラーして出掛けて行かなかったか?」 優多は、自分の首元を見やり、何かを思い出したかの様に相槌を打った。 「ああ。あのマフラーね、人にあげたんだよ。」 「マフラーをあげた?」 尊の眉が僅かに上がる。 「あれは、お前にとって特別な物だろ?一体誰にあげたって言うんだ?」 「んー。。知らない人。」 「知らない人って。。どんな人なんだ?」 尊は、怪訝そうな顔付きをして、彼に尋ねた。 「そうだな〜。背が高くて格好良い男の人。あっ、でも笑顔は可愛い感じの人だったな。。多分、尊兄と同じ歳くらいだと思う。」 「俺よりも?」 「ん?笑顔が可愛いかって事?」 「違う!そいつは、俺よりも背が高くて、俺よりも格好良い奴なのか?」 優多は、一瞬目が泳いだのを気取られない様に慌てて否定した。 「背は同じぐらいだけど、尊兄の方が断然格好良いよ!」 「そうか。なら良い。」 尊は満足気に頷いた。 本当は、背はあの男の人の方が高かったし、顔は同じぐらいのレベルだけど、、 正直に言わない方が良さそうだな。。 優多は肩をすくめて、口を噤んだ。 「で?あげた理由は?」 「え?」 「だから、何故見ず知らずの男に大切なマフラーをあげたのか、その理由を聞いているんだ。」 優多は首を傾げて暫く考えてから、ポツリと呟いた。 「俺と同じ目をした人だったから。。」 「。。同じって?」 「。。いや、違うな。俺よりも寂しそうな目をしてた。」 「。。寂しそう?」 彼が放った思いも寄らぬ言葉に、尊の表情は強張り、思わず優多の手首を強く掴んだ。 「お前は、俺が傍に居ても寂しいのか?俺と居ても孤独なのか?」 尊は、無意識の内に語気を強め、彼に問いただしていた。 「違っ。。そうじゃない。尊兄痛いよ。。」 尊は優多の苦痛に歪む表情を見て、はっと我に返った。

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