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 銀のフライパンの上に少し多めにオリーブオイルを流し入れる。エクストラバージンオイルという少し値段の張るオイルは香りがとても良く、三崎はその香りにとても恍惚な顔をしていた。  そして火をかける前に先にみじん切りにしておいたにんにくと輪切りにした鷹の爪を冷たいオリーブオイルの状態でフライパンに入れる。  火にかけた状態でにんにくを入れると焦げてしまってせっかくの風味が損なわれてしまうから、火をいれる前の温まっていない状態のオイルから始めることが重要である。  火は弱火、じっくりと焼色をつけていく。 「うわ、俺の身体がヌルヌルした液体でベトベトなんだが……」 「やだぁ……僕の身体も何か変だよぉ……」  勿論変な液体とはオリーブオイルの事である。 「せっかちだね、君は」  思いの外にんにくに色がつき、香ばしい匂いが出てきた時に三崎はにんにくと鷹の爪を一旦別皿に移す。フライパンの上にあると余熱で焦げてしまうからである。  そしてまだ油が残っているフライパンの火力を中火にすると今度はベーコンに手を伸ばした。 「次はお前の番だが、ベーコン」 「俺……いや、僕の番かよ」  あえて一人称を変えたのは強気な性格を演じてたという設定らしい。 「安心しろ、あるいようにはしない。せめて美味しくしてやるよ」 「そうかい」  ベーコンは吹っ切れたように呟く。 「どうして君が、僕なんかと……」  そう言いつつも、ベーコンは若干嬉しさを隠せないでいる。 「さて」 「俺だけに見せる顔、見せてよ」  俺だけに見せる顔とは勿論焼き色だ。ベーコンはじっくりと焼き色を付けられていく。

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