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第113話

ぞくぞく、ぞわぞわ。 嫌悪ではない。けれど快感とはまた違う何かが背を這うのが嫌で必死に逃げるけれど、水無瀬は許してくれない。 いやいやと首を振って抵抗するもまるで無視されて、今度は反対側の突起を触り出した。 「擽ったいって、気持ち良いの前身だよ。君発情期の時、ここすごく喜ぶから触ったんだけど、発情期じゃないとちゃんと開発しないとダメなんだね。」 「開発って…ん、ちょ、もうそこやだってば…、やっ!」 「逆を言えば開発すればちゃんと普段から感じる所だよ。」 開発とか、そんな言葉を水無瀬の口から聞きたくなかった気もする。 制止の声は、水無瀬が突起を口に含んだ衝撃に呑まれて消えた。 舌先で転がされて吸い付かれて、甘噛みされて。時折、水無瀬の舌に弄ばれる自分の突起が目下にちらついて、その反対側は相変わらず綺麗な指先が優しく苛めてくる。 その光景に、ぞくりと下半身に熱が集まった。 そしてその下半身の反応は、密着している水無瀬にはすぐにバレてしまった。 「良くなってきた?」 青い瞳を細めて嬉しそうに、そして楽しそうにそう言った水無瀬は、水樹の答えを聞く前に下着の中に手を入れて素早く脱がし、素直な反応を示す半身を軽く握った。 突然の直接的な刺激に腰が跳ね上がる。その様子も、水無瀬は満足そうに眺めて、突起と同時に弄りだした。 「や…ん、く…っやだ、やだ…」 下の方から濡れた音がする。 反応が早すぎて恥ずかしくて消えてしまいたかった。発情期でもないのに、ちょっと触られただけでこんなになってしまうなんて。 「や、ぁ…っん、」 じわ、と後ろまで愛液が染み出してくる。発情期と違って極々僅かな量ではあるけれど、それだけでも水樹が感じ入っていることを水無瀬に知らせるには十分だった。 触られている半身も、口の中で遊ばれる乳首も、次第に激しさを増す。 吐息に混じる声に甘さが増して、それが堪らなく恥ずかしくて、水樹は必死に声を殺した。 「や、も…むり、出る…ぅんっ」 「いいよ、好きな時にイって。」 先の方を執拗に擦られて、突起をキツく吸われると、脳内に白い靄が広がっていく。 ああ、この感覚は知っている。 「ん、んっ!ん、ぁ…」 一瞬の絶頂。 断続的に白濁を吐き出した水樹は、だらんと絶頂の余韻に浸る。 少し感覚が戻ってきて目を正面に向けると、途端にサァッと血の気が引いた。 「ちょ、なにしてんの!?」 「何って、舐めてる。美味しくないね。」 「見ればわかるよ!当たり前だろそんなの!」 「君いつも飲むじゃない。」 「知らない知らない知らない!!」 ここで発情期の時のことを持ち出すなんて卑怯だ。 水無瀬に精を舐められるなんて、この天使の容貌に自分の吐き出した欲を舐めさせるなんて。 水樹が慌てて水無瀬の手を取ってティッシュで拭う様子を、水無瀬は微笑みをたたえながらじっと見つめている。 その視線に、ドキッとしたのも束の間。 トン、と押されて視界がひっくり返った。

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