「げぇ、それマジなの？」 「他で下手こいた奴が居んだろな」 「アホかよ」 　学園内でウリをしているのは、何も俺だけではない。顔の出来が良い奴らは特にやってる可能性が高く、料金だってべらぼーだ。 「あ、そうだ。お前が復帰すんの待ってる奴が居んぞ」 「…ダレ」 　警戒してしまう俺を許して欲しい。決してチキンな訳じゃないんだ。幾ら節操の無い俺でも、尻は本当に守りたい。いや、今度こそ守り抜いてみせる。 「二年の山田次郎」 「あー…、アイツな。いーよ、昼休み明けに入れといて」 　何度か客として来た事のある奴なのでホッと胸をなでおろすと、久々のお仕事に腕をぐっと伸ばした。 　で、結果から言えば山田次郎は来なかった。そんでもって代わりに来たのが、お察しの通り何故か秋月で…冒頭に戻る訳だ。 「もっ、やめっ！　あッ、ンうっ、」 「はぁっ、はぁっ」 　俺は再び手首を縛られベッドヘッドに括り付けられた状態で、秋月にバックから犯されていた。まだこっち側は二度目だと言うのに、千鳥の言う通り秋月が上手いからなのか…俺のそこは快楽を拾いまくる。 「はっ、はっ、南…きもちぃ？」 「ァッ、アッ、ンあうっ、ぁあッ」 「南、みな…みっ」 　耳元で何を囁かれているかももう分からずに、揺さ振られている間中、俺はひたすら与えられる熱を締め付けた。 　それからの日々は正に悪夢の連続だった。 　俺、南壱也は、幾度と無く他の生徒の名前を使って現れた秋月に騙され、尻を奪われることとなった。だが一応言い訳させて貰えば、三度目の時点で本気で逃げ出したし（捕まったけど）、本気でブッ殺そうと殴りかかったんだ。 　でも、どれだけ反撃しても奴は涼しい顔してスイスイ避けて、その上俺の鳩尾に一発ズドンで毎回ノックアウト。 　そうしてそのままヤられる流れが十日ほど続いた、そんなある日。 「南、意識飛ばさなくなったね」 「おま………ホント死ねよ…ぅあ」 　また今日も逃げ切れず、遂に保健室以外で襲われた俺。抵抗しても力は敵わないし逃げ切れもせず。カラダはもう完全に受け入れることを覚えてしまい、秋月がずるりと抜けていく刺激ですら快楽を拾ってしまう様になっていた。もう俺の人生終わりだ。 「まじ死にてぇ…」 　起き上がる気力も体力も最早無く、押し倒され蹂躙された場所にぐったりしている俺を、無言で見下ろす秋月。その顔は相変わらず目元が前髪で隠れていて、表情がいまいち分からない。