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Ⅳ:1

※南×モブ表現あり  同じ学年である風紀委員長の安永は、無口無表情と有名だったが、観察していれば思いの外分かり安い男だった。まぁ、主に秋月への感情の話だが。    窓から見える校庭では、別クラスで有るはずの二人が体育に勤しんでいる。秋月は相変わらず前髪のせいで何処を見ているか、どんな表情をしているかサッパリ分からなかったが、その分安永は分かりやすかった。  何処にいても、何をしていても秋月を目で追っている。その目は親友や、まして単なる同級生を見る様な目ではなかった。 (アイツ…秋月に惚れてんのか)  安永は秋月に惚れていて…そして秋月も安永に惚れている。  聞くところによるとウリの検挙は現行犯で無いと難しい様で、そこで仕掛けたハニートラップが秋月だったって訳だ。俺は、そこにまんまとハマった。  いやいや、ありゃほぼ強姦だっただろ。捕まるべきは秋月なんじゃねーのか? まぁ、そこは置いておくとして。  秋月は惚れてる安永の力になりたいが故に。確実に獲物を仕留められる様、自らの金と身体を差し出した、と言うことか。で、俺は風紀の餌食になる為に秋月にケツを掘られていたと。 「阿呆らしっ!」  見るのも不愉快な姿を視界から消したくて勢い良くカーテンを閉めれば、生徒どころか教師までが怯えた顔をする。 (俺が何したっつーの)  空気の悪くなった教室にいるのも気分が悪い。ガタンッ、と態とらしく大きく音を立てて立ち上がれば、周りは「ヒッ」と小さな声を漏らした。  思った通りの反応に俺はフンッと鼻を鳴らし、そのまま教室を出て行く。勿論、引き止める者など誰一人いなかった。

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