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第3話

 正直千世にはどこが悪いのか分からなかったが、プロの目は違うのだろう。そもそも普段読まないジャンルだから、設定にオリジナリティーがないと言われたところで、どんなものがありきたりな設定なのかすら不明だ。  だが彼が今まで隠してきた漫画を見せ、BL好きだということをカミングアウトしてまで千世達にモデルを頼むということは、よほど行き詰まっているはずだ。 「それで、俺たちはどんな何をやれば良いの?」 「もう二、三ページめくるとさ、出てくるだろ。その……そういうシーンが」  原稿用紙を持っていた泰志が、言われるままにページをめくる。すると、廉佳が言う『そういうシーン』が現れた。  そこでは登場人物二人の思いが通じ、口付けを交わしているところだった。  性的なことに淡泊な千世は、思わず顔を赤らめてしまう。 (す、すごい……。でも男同士とはいえ恋愛モノなんだから、キスの一つや二つは当たり前なのかな?)  泰志がさらにページをめくる。 「っ!」  千世は反射的に顔を手で覆っていた。  昔から恥ずかしがり屋で、すぐ顔が赤くなってしまう上に中性的な顔立ちの千世は、女の子との接点も極端に少なかった。こんな性格だから思春期の男子が興味を持つことも、照れが(まさ)ってしまい手を出せていない。つまりは、そういうことだ。

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