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第7話

 早くもダメ出しを食らった泰志は、今度は千世の後頭部に手を添えてそっとベッドに横たえた。その一瞬を逃すまいと、廉佳がスケッチブックにシャーペンを走らせる。  その後も服を脱がそうとする泰志の手を何度か止め、ようやく千世の上半身が裸にされた。 「ねぇ、脱がせたはいいけど、ここからどうすんの? 俺実践は初めてだからさ」 (泰志でもまだしたことないんだ……)  彼はまだ高校三年生だというのに、時に(あで)やかな雰囲気を醸し出すから学校では女の子達にモテるのだ。  そういえば泰志は何か変化があればどんな些細なことだろうと千世に報告してくる。言いにくいことだとは思うが、数年前精通の報告までされたことを考えると、無頓着な彼が何も言ってこなかったということは本当に実戦経験は無いのだろう。  泰志がまだ千世より進んでいないことに密かに安堵していると、横から注文が飛んできた。 「本当に『初めて』なんだな、そういうの良いねー。次はおでこにキスしてくれる?」 「きききき、キス!?」 「おでこなら簡単じゃん。はい、千世にぃ」  笑みを湛えたままの唇が顔に近付いてくる。視界が暗くなり、吐息が千世の鼻先にかかった瞬間――。 「そこ! 動かないで、すごく良い感じ」  再び廉佳に待ったをかけられ、泰志の動きがぴたりと止まる。 (ち、近い! 唇くっつきそうだよ……)  まだ触れていないのに額がむずむずするし、何よりこんな至近距離に居られては千世の方が恥ずかしい。

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