9 / 234

第9話

「二人とも、そろそろ役に入ってくれないか? 泰志は千世のことセンパイって呼んでみてくれ。後は取りあえず泰志の好きにしていいぞ。適当に俺が指示を出すから」  どうやら廉佳は本当に初めて同士の二人に任せて、その初々しさを絵に残したいようだ。 「ははっ、緊張しちゃうね。セ、ン、パ、イ」 「~~ッ」  呼び慣れない呼称に背中に悪寒が走る。たった一言『センパイ』と言われただけなのに、違和感の塊を投げつけられたかのようだ。 (もぅ、泰志はすぐ悪ノリするんだから……)  こうなった泰志にはもう手がつけられない。彼は気の済むまで千世の身体を弄ぶだろう。 「ほらセンパイ、こっちに集中して」 「ぅえ? あ、う、うそっ!」  気が逸れた隙に下着に手をかけられる。次に起こることを予想して泰志の手を掴もうとしたが、彼の方が素早かった。 「わぁああぁああああ!!」  あまりの出来事に絶叫しながら、千世は身を丸めて全身で防御の姿勢をとった。 (廉佳さんが見てるのに……。いや、モデルなんだから見られて当然か。でも恥ずかしくて今すぐ消えたいよ……) 「隠さないでセンパイ。これからもっとすごいことするんだから、見せてくれても良いんじゃない?」 (泰志も泰志で、そういう事どこで覚えてくるの?)  弟の色事が気になる千世だったが、廉佳は依然として容赦がない。

ともだちにシェアしよう!