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第31話
大きなお世話だ。千世の食が細いことを知っているくせに。
いや、今はそれどころではない。さすがに一から十まで全部やらせてしまったことには礼を言うべきだが、昨日のことに関しての苦情の一つや二つ、訴えてもいいはずだ。
「着替えとか後処理とかやってくれたのは、ありがとう。でも昨日の泰志は少しやり過ぎだったと思うんだけど……」
「あ~、俺もちょっと無理させすぎたかなとは思う。ごめん」
「――うん」
泰志はへらへらしているように見えて、自分の悪い所は素直に受け容れて謝ってくれる。そこが彼の長所で、そんな彼だから何があっても許してきたし、喧嘩も一切しなかった。
「でも次はないから。僕、すごく恥ずかしかったんだからね」
「えー、千世にぃ可愛かったのにぃ~」
「だから、そう可愛い可愛いって言われても――」
「俺さ、千世にぃのことが好きなんだよね」
「そう。そういうのが困るんだよ……って、え? 今、何て言ったの?」
聞き間違いだろうか。『可愛い』ならまだしも、『好き』となると言葉の重みが異なる。
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