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第38話

(もう……何で僕の思い通りにいかないの?)  あれからしばらくして泰志が『枕忘れてるよ』なんて暢気な声で部屋に入ってきて、それを追い出したと思ったら廉佳からメールが送られてきた。話したいことがあるから時間ができたら俺の家に来てくれ、といった内容だったが、こんな時に廉佳と会ったら恥ずかしさで頭がどうにかなってしまいそうだ。  パジャマを着替えて時計を見るともうすぐお昼になるところだった。朝食を食べ損ねていたので、さすがに腹の虫が鳴き始めている。昼食を食べる間くらいは泰志と顔を合わせるのも仕方ないだろう、と恐る恐る下の階へ向かった。  日曜日は寝坊気味になる祖父も居間に加わり、そこは休日の昼間らしく和やかな雰囲気だった。もちろん泰志の姿もある。 「ちーちゃん、具合はもう大丈夫なの?」 「具合?」 「そうよ。泰ちゃんが、千世にぃは具合が悪いから寝かせてあげてって」 「あ……えっと……?」 「千世にぃ。寝たら体調も良くなったんだよね」

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