「あの…昨日は、僕も『嫌』って言わなかったし、僕にも悪いとこはあったかなぁって……」 「そのことなんだけどさ、本当に嫌じゃなかったんだよな？　なら悦よかったのか？」 「う……それは、その…………よ、よかった……です」 　真っ赤になった顔を見られたくなくて、千世は俯いて小さくなる。初めての感覚に戸惑うことが多かったが、結果として気を失うまで快楽に溺れていた。 「じゃあまたモデルやってくれって言われたら、しれくれる？」 「へっ！？　だって昨日、『今回だけ』って」 「分かってるって。俺も虫が良すぎたな。忘れてくれ」 　その時千世は何を思ったのだろう。自分でもよく分からない。ただ、異常なまでの好奇心が込み上げてきて、こんなことを口走っていた。 「因みになんだけど……僕が『嫌』って言わなかったら、廉佳さんどうしてた？」 　すると廉佳はぴくっと片方の眉を上げ、にやりと笑う。