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第77話

 気にしてないと言えば嘘になるが、こう陳謝されてもペースが狂う。廉佳らしくないからだ。 『いや、お前の気持ちを弄びすぎたって反省してる。モデルを頼んだのも、お前なら絶対可愛い反応しれくれるって思ったからなんだ。まあそもそも、あんなこと頼めるのが幼馴染みのお前らしかいないってのもあったんだけど……』 「か、可愛いだなんて……」 『千世は可愛いよ。泰志に抱かれてる千世も、鏡の前で顔真っ赤にしてる千世も、全部。全部可愛くて――惚れちゃったかもな』 「惚れ……?」 (惚れるってどういう意味だっけ……。好きってこと?)  常識的な言葉なのに改めて考えてしまうほど、その衝撃は大きかった。  自分が廉佳を好きなだけでなく、彼も自分を―― 『あれ、廉にぃじゃん。そんなとこで何してんの?』 『た、泰志!? 何だよお前、いつもこんなに帰り遅くねーだろ』  そこへ、唐突に電話の向こうから泰志の声が響いた。驚いたような怒ったような廉佳の声も聞こえてくる。 「廉佳さん今どこにいるの?」 『あ、千世にぃと電話してたんだ。それならこんな所に立ってないでうちに入ればいいのに』 『おい泰志! ちょ、携帯返せ!』  どうやら二人はこの家の前にいるようだ。電話口からは揉めている気配がするが、どういう状況なのだろう。

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